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与党、コロナ対策特化で支持回復狙う 野党は後手批判

 与野党は18日に開会した今国会で、秋までに行われる衆院選も念頭に激しい攻防を繰り広げる見通しだ。新型コロナウイルス対策が喫緊の課題になっていることもあり、序盤は経済対策となる令和2年度第3次補正予算案や、コロナ対策を強化する特別措置法の改正案などが焦点となる。

 「自民党は国民の負託に応え、断固責任ある政権与党として結果を出していかなければならない」。菅義偉(すが・よしひで)首相は同日、コロナ対策で中止となった召集日恒例の党両院議員総会に代わり、国会議員向けに配信したビデオメッセージでこう訴えた。

 首相は今国会で、看板政策に掲げるデジタル改革関連法案などを成立させ、衆院選へ弾みをつけようとしていた。ところが、コロナ対策で「後手」批判が巻き起こったこともあり、内閣支持率の下落が続く。

 党幹部は「コロナが収束しない限り、しばらくこのままだろう」と表情を曇らせる。公明党の山口那津男代表も18日の党会合で「信頼回復のため真摯に取り組まなければならない」と危機感をあらわにした。

 このため、政府・与党は当面コロナ対策に注力し、支持の回復に努める考えだ。営業時間の短縮要請を拒む飲食店に罰則を設ける特措法改正案や、入院を拒む感染者に刑事罰を科す感染症法改正案などを「束ね法案」として一括で国会に提出し、2月3日には成立させたい考えだ。

 一方、野党は質疑を通じ、政府のコロナ対応が遅いと国民に印象付けようとしている。政府・与党が束ね法案の成立を見込む2月初旬までの3週間を「大きな山場」(立憲民主党の安住淳国対委員長)と位置づけ、追及を強める構えだ。

 特に感染症法改正案が懲役刑を含む刑事罰を想定していることに関しては、「重すぎる」と修正を求める方針だ。共産党は罰則を科すこと自体に「断固反対」(志位和夫委員長)との立場を表明している。

 立民の枝野幸男代表は18日の党会合で「菅内閣はもはや支離滅裂」と断じた。さらに、昨年の臨時国会で独自の特措法改正案を共産、国民民主、社民各党と提出していたことを踏まえ、「国会で審議していればとっくに(改正を)実現できていた」と批判した。国民民主党の玉木雄一郎代表も党会合で「政府の対応は後手後手と言わざるを得ない」と指摘した。

 野党は補正予算案に関し、政府が一時停止を決めた観光支援事業「Go To トラベル」の予算が含まれていることを理由に組み替えも迫っている。(永原慎吾、田中一世)

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