海外情勢

トランプ氏の評価は…中国「わがまま」、イスラエル「感謝」 露ではもう過去の人

 トランプ米大統領の退任を、その異色の政治スタイルに4年間、振り回され続けた各国はどのようにみたのだろうか。

 ロイター酷評

 ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネ(電子版)は19日、トランプ氏の功罪を振り返り、北大西洋条約機構(NATO)の欧州加盟国は防衛費負担の増加を迫られたが、それが欧州安保の強化につながり、「欧州の利益になった」と位置付けた。

 19日付フランス紙フィガロは、「米国第一」を掲げたトランプ氏は、欧州政界にもポピュリズムの大波を巻き起こしたことを振り返り、「トランプ氏の退任後も、民主主義社会に広がった分断は残る」とする識者の声を伝えた。

 ロイター通信は19日、トランプ氏を「ロシアのプーチン大統領や北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記のような独裁者を甘やかした」と酷評。英BBC放送などは19日、ジョンソン英首相に近い存在として知られるセドウィル元国家安全保障担当首相補佐官が、トランプ政権が2期目へ移行すれば「(英国を含め欧州諸国の)安全保障や環境対策に利益をもたらさなかっただろう」と述べたと報じた。

 ブラックリスト

 20日付のロシア主要各紙はトランプ氏の特段の振り返りや評価記事を掲載しなかった。ロシアでは、ロシアを「敵」と呼ぶバイデン米新政権がどのような対露政策を取るかという点に関心が集まっており、トランプ政権は既に「過去」となっている。イタル・タス通信は20日、ゴルバチョフ・ソ連初代大統領の米露関係についてのインタビュー記事を配信した。

 イラン外務省報道官は19日、トランプ氏とポンペオ国務長官ら米閣僚数人について、「テロリストであり、非人道的」だとして、ブラックリストに載せたと発表した。一方、トランプ政権と親密な関係を築いたイスラエルのネタニヤフ首相は17日の閣議で、「力強い行動」を取ったとしてトランプ氏に謝意を述べた。イスラエル政府のメディア当局が発表した。

 韓国紙は安堵感

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18日の年頭の記者会見で、バイデン新政権が北朝鮮との対話を再開させることに期待感を示した上で「その対話は、トランプ政権で成し遂げられた成果を継承し、発展させていくものであるべきだ」と強調した。韓国紙、東亜日報は社説でバイデン新政権について「トランプ政権時のように大統領の気まぐれによる突拍子のない対話展開よりも正統な外交手法が追求される」と論じ、トランプ時代の“サプライズ外交”の終焉(しゅうえん)に安堵(あんど)感をにじませた。

 オーストラリアのモリソン首相は19日にペンス副大統領と電話会談し、両国の連携が強化されたことなどに謝意を述べた。18日にはポンペオ国務長官とも電話会談したが、トランプ氏とは「(退任前に)話す予定はない」と話した。

 20日付の中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報はトランプ氏について「最後まで、わがままを通したようだ」と指摘。一例として欧州などからの外国人の入国禁止措置を解除すると18日に発表したことを挙げた。大統領の職にある間は思わぬ反発を警戒してか、20日までのところ中国側ではトランプ氏個人に対する厳しい批判は目立たない。

 歴史上最も台湾に友好的な米大統領といわれたトランプ氏に対して、台湾の各界からは「感謝の声」が上がった。外交部(外務省に相当)は「トランプ氏の大統領任期中の台湾に対する力強い支持に感謝する」と表明。総統府、立法院(国会)も20日までに同じようなコメントを発表した。

(パリ 三井美奈、ロンドン 板東和正、モスクワ 小野田雄一、カイロ 佐藤貴生、ソウル 桜井紀雄、シンガポール 森浩、北京 三塚聖平、台北 矢板明夫)

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