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特措法・感染症法改正案、修正協議「懲役刑」が焦点 野党が見直し要求

 与野党は22日、新型コロナウイルス対策を話し合う政府与野党連絡協議会を国会内で開き、新型コロナウイルス特別措置法と感染症法などの改正案について、衆参両院の内閣委員会で修正協議を行うことで合意した。週明けにも修正協議に入る。入院を拒否した感染者らに懲役などの刑事罰を科すことに野党は強く反対しており、焦点となる。

 「スピード感を持って(改正案を)成立させるというコンセンサス(共通認識)が与野党間にあると思う。双方努力すべきだ」

 公明党の山口那津男代表は22日、国会内で記者団にこう述べ、与野党の歩み寄りに期待感を示した。

 最大の焦点は感染症法改正案にある懲役刑だ。入院拒否や入院先から逃げた感染者への刑事罰として「1年以下の懲役か100万円以下の罰金」とし、感染者が保健所の行動調査を拒んだり、虚偽回答をしたりした場合は50万円以下の罰金とした。

 立憲民主党は連絡協議会で、「過重であり、現場にも混乱と対立を招き、感染防止対策に資さない」として撤回を求めた。共産党はそもそも罰則規定に反対し、国民民主党や日本維新の会も見直しを求めた。

 これに対し、自民党の後藤茂之政調会長代理は連絡協議会後、記者団に「党内にも懲役はどうなのかという議論があるのは事実だ」と述べた。厚生労働省幹部も「与野党の間で『こうしろ』となれば、理屈はつけられる」と語った。

 特措法改正案では、緊急事態宣言の前段階として、集中的に対策を講じる「蔓延(まんえん)防止等重点措置」を新設した。都道府県知事による営業時間短縮や休業の命令に違反したり、命令時に可能となる立ち入り検査を拒否したりした場合、行政罰としての過料を科す。

 過料をめぐっては「『十分な経済的支援の具体化』を優先させるべきだ」(立民)などとして、野党各党から撤回や見直しを求める意見が相次いだ。支援に関しては、すでに野党の要求に応じる形で義務規定とした経緯がある。

 「蔓延防止等重点措置」に関しては、立民のほか国民民主党が「ほぼ緊急事態宣言と類似のカテゴリーを創設することは、宣言の形骸化につながりかねない」と指摘した。後藤氏は記者団に「必要だと思っている。『いらない』というと、すり合わせのしようがないかもしれない」と語った。与党内には、改正案に関する野党の要求の一部を付帯決議などに盛り込む意見もある。(沢田大典)

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