海外情勢

米集計機メーカーのドミニオン社がジュリアーニ氏提訴 選挙「不正」批判に反発

 【ワシントン=黒瀬悦成】米投票集計機メーカー「ドミニオン・ボーティング・システムズ」は25日、昨年11月の大統領選で敗北したトランプ前米大統領の個人弁護士であるジュリアーニ元ニューヨーク市長が、大統領選に関する嘘を拡散して同社の名誉を毀損(きそん)したとして、13億ドル(約1350億円)の損害賠償を求める訴訟を首都ワシントンの連邦地裁に起こした。

 訴状によると、ドミニオン社は「ジュリアーニ氏が同社の集計機のせいで得票が操作され、『選挙が盗まれた』とする『大嘘』の主張を同調勢力と一緒に拡散させ、数百万人をだました」と主張した。

 また、大統領選に絡みトランプ氏の弁護に携わったシドニー・パウエル、リン・ウッド両弁護士や、FOXニュースなどの保守系メディアも大統領選をめぐる偽の主張の拡散に加担し、同社社員が迫害されたり殺害予告を受けたりするなどの「取り返しのつかない被害を受けた」としている。

 同社の集計機が使われた東部ペンシルベニア州での訴訟をめぐっては、ジュリアーニ氏がテレビなど公の場でドミニオン社の「不正」に関し虚偽の主張をしていたにもかかわらず、法廷に提出した訴状では同社の「不正選挙」への関与について一切言及しなかったと指摘した。

 自社の集計機の精度については独立機関の監査や、集計機にデータが入力された紙の投票用紙の再集計を通じて、「不正」があったとするジュリアーニ氏の主張は虚偽であることが証明されたとも主張した。

 同社の集計機で不正が行われたことを裏付ける具体的な証拠は、現在までに確認されていない。

 ドミニオン社は今月、パウエル弁護士をすでに提訴したほか、今後も同社の名誉を傷つけた個人らを順次訴える考えを示している。

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