国内

「やむを得ない」「まだ続くの」緊急事態宣言延長 各地の受け止め

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い首都圏や関西などの11都府県に発令された緊急事態宣言が、栃木県を除いて1カ月間延長されることになった。医療体制の逼迫(ひっぱく)が今も続く中、「やむを得ない」との声が上がる一方、長期化する自粛生活に「まだ続くのか」と不安を訴える人も相次いだ。

 首都圏

 「(新規感染者の)人数はまだまだ少なくなったとは思えず、延長すると思っていた」。東京都港区新橋にある居酒屋「飲み処うみねこ」の店主、小松原美穂さん(46)は、延長を冷静に受け止めた。

 以前は深夜営業していたが、「密」を避けるため午前11時半から午後5時までの営業に変更。「(営業時間短縮要請に応じた店に支払われる)協力金が6万円に引き上げられたのはありがたいが、宣言解除後にお客さんが戻ってくるかどうか分からない」と、本音を打ち明けた。

 目黒区の自営業、五十嵐大祐さん(45)も「感染者が大きく減っておらず(延長は)仕方がないが、以前の生活はいつ戻るのか」と不安げな様子。新宿区に住む中学3年の白砂虹太郎(こうたろう)さん(15)は「コロナの影響で学校の給食がなくなり、親の負担が増えている。夏のキャンプなどの行事も中止になったし、早く元の生活に戻ってほしい」と話した。

 人気観光地の横浜市の横浜中華街は人通りが少なく「2月7日まで営業中止」などと張り紙をしてシャッターを下ろした店舗も目立つ。点心専門店を営む男性(48)は「時短営業の補償が不十分。この状況がさらに1カ月続くと思うと気が重い」と残念がった。

 栃木

 11都府県のうち唯一、宣言が解除となる栃木県でも、「まだ楽観できない」と慎重な意見が聞かれた。

 緊急事態宣言に伴い一部を完全休業にするなど営業自粛を強化してきた宇都宮市内にあるギョーザの名店の味を食べ比べできる「来(き)らっせ本店」(同市馬場通り)。運営する宇都宮餃子会の鈴木章弘事務局長は「東京などからの来客が多い観光型の店なので、まだ油断はできない」と気を引き締め、「(感染者の増減という)目先の数字に追われるのではなく(行政は)もう少し先のことを考えた方がいい」と述べた。

 市内のカラオケ店の男性店長は「経営は赤字。解除後も感染者を出さないよう、今は乗り切るだけ」。市内で茶道教室を開いている70代女性も「ほっとする面もあるが、手放しでは喜べない。教室は1回の人数を減らすなど対策を続ける」と話した。

 関西

 京都、大阪、兵庫の3府県の観光地や地元商店街からも、さまざまな声が聞かれた。

 コロナ禍前までは訪日客であふれた京都の台所・錦市場で漬物店を営む男性社長(53)は、延長について「今は力を合わせて感染対策に取り組むべきで、判断はやむを得ない」。一方、飲食店が並ぶ先斗町(ぽんとちょう)にある土産物店の男性店長(44)は「売り上げは9割以上減。厳しい状態がさらに続くとなると気は重い」とため息まじりに話した。

 串カツチェーン「串かつだるま」では緊急事態宣言再発令後、大阪市内8店舗が午後8時に閉店、6店舗は臨時休業の措置を取っている。担当者は「さらに1カ月同じことを繰り返すとなると、協力金では家賃の足しにもならず大変厳しい」とする。その上で「協力はさせていただくので、また『GO TO』のような起爆剤となる施策をお願いしたい」と求めた。

 神戸市の中華街・南京町で人気の豚まん専門店「老祥記」を営む曹英生(そう・えいせい)さん(64)は「私の店だけでなく南京町への客足が減り、飲食店全体が苦しんでいる」と話す。「さらに1月間とは予想していなかった。今後さらに客足が遠のき、売り上げが下がると思うと不安」と明かした。

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