ポトマック通信

現金給付で株購入 アプリ「指先投資家」が市場攪乱

 米政府が経済対策として国民に配布した現金が、投資マネーになって金融市場に流れ込んでいる。政府は昨年、大人1人あたり計1800ドル(約19万円)の支給を決めた。新型コロナウイルス危機に対処するため、経済の原動力となる消費を支えようと実施した破格の現金給付だが、そのお金を投資に使う人が少なくないのだ。

 背景にあるのはスマートフォンに導入して使う投資アプリの普及だ。指先ひとつで簡単に株式購入などができるとあり、新たな投資家が急増。人気アプリ「ロビンフッド」の先月の新規ダウンロード数は300万を超え、過去最多だった。

 「指先投資家」は市場の秩序を揺るがしている。ロビンフッドなどを使った個人投資家らが交流サイト(SNS)で連携して集中的に買った企業の株価が業績と関係なく急上昇。同じ企業の株価下落を当て込んでいた投資ファンドが大損をこうむり、市場の攪乱(かくらん)要因になっている。

 バイデン政権は1400ドルの追加給付を検討中だ。個人投資家が集まるSNSでは、さっそく「次の現金給付で狙い目の銘柄はこれだ」などといった投稿が盛んになっている。

 景気対策として支給された資金が、企業業績とかけ離れた投機的な動きを助長しているとすれば、皮肉な構図だ。(塩原永久)

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