国内

森氏発言に政府苦慮 五輪目前、国内外調整できる実力者の代わりがいない

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視ともとれる発言をした問題で、政府が対応に苦慮している。森氏に代わる人物は見当たらない一方で、国内外の反発が与える影響も読み切れないからだ。

 菅義偉(すが・よしひで)首相は5日の衆院予算委員会で、森氏の発言について「五輪・パラリンピックの重要な理念である男女共同参画を考えたとき、あってはならない発言だ」と改めて批判。もともと森氏と折り合いが悪い東京都の小池百合子知事は5日、記者団に「大きな事態に直面している」と述べ、包囲網を強めた。

 ただ、大会の成功を目指す政府にとって、森氏が欠かせない人物であることも事実だ。世界各国の王族や政財界の重鎮が集まる国際オリンピック委員会(IOC)と相対し、国内のスポーツ界や関係省庁、経済界などと調整する仕事は誰にでもできるわけではない。

 かつて「強い政治力を持つ首相経験者クラス」という基準で森氏に白羽の矢を立てた経緯もあり、首相側近は「後任なんて探してもいない」と語る。

 政府は表向き、森氏の続投を明確に支持しているわけではない。橋本聖子五輪相は5日の記者会見で、IOCのバッハ会長と4日夜に電話会談した後、森氏に「同じことを繰り返さないよう、引き続きしっかり対応してほしい」と注意を促したことを明らかにした。ただ、森氏の去就については「公益財団である組織委がお決めになること」と述べるにとどめた。

 政府が懸念するのは国内外の世論だ。森氏批判の大合唱の中で五輪を迎える事態は避けたいのが本音といえる。一方で、森氏は自民党最大派閥の細田派(清和政策研究会)に強い影響力を持ち、首相が森氏に引導を渡す形となれば、政権基盤も揺るがしかねない。政府高官は「世論やマスコミの論調を見て、ご本人が判断されることだろう」と語った。

(児玉佳子、市岡豊大)

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