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好み分かれる栃木の郷土料理「しもつかれ」ブランド化へ奔走 青柳徹さん

 独特な外見と味、香りで好みが分かれる「しもつかれ」。近年は家庭で作ることも減っている栃木県の郷土料理を次世代に継承していこうと、同県栃木市在住のブランディングデザイナー、青柳徹さん(44)が「しもつかれブランド会議」を立ち上げて3年になる。「しもつかれのネガティブな要素を払拭し、世界に誇れる料理に」と、多方面への魅力発信に取り組んでいる。(松沢真美)

 「(余り物などで作る)しもつかれはサステナブル(持続可能)な、これからにふさわしい料理。発酵食品で栄養価が高く、人にも環境にも優しい」。しもつかれの魅力を話す青柳さんは「くせの強さは地域色の強さ。つまり栃木県らしい県の資源」と力説する。県内外、海外の人たちにも伝えるため、「しもつかれ」をブランド化するプロジェクトを考えた。

 周囲は当初、「無理だ」と否定的だったが、会員制交流サイト(SNS)で呼び掛け、農家や飲食店経営者など10人の仲間が集まった。会議のメンバーたちが考案したアレンジ料理を紹介するイベントや祭りを開催。ワークショップや、大根をおろすスピードを競う「鬼おろし選手権」なども実施した。

 コラボレーション商品の開発も行い、「しもつかれカレーパン」や「しもつかれまぜそば」を共同で考案。独自ブランドとして洋菓子の「TOS(渡守)」や衣料品の「シモツカレヤンキー」なども立ち上げた。

 会議のメンバーには「しもつかれインフルエンサー」「しもつかれアレンジ料理家」などの肩書も命名。活動を通してしもつかれとともに成長し、メンバーたちのブランディングにつなげることも心掛けている。グラフィックデザインも手掛ける青柳さんは、インターネットメディア「しもつかれJAPAN」を開設し、活動やコラムを紹介するなど、次々と自由な発想で「しもつかれ」の発信を続けている。

 「ブランドとして定着するまでには、10年、20年と先を見て、ひたすら取り組み続けている」と青柳さん。県が昨年、民間調査の都道府県魅力度ランキングで最下位に沈んだことを尋ねると「誰かが作った指標の上で勝負する必要はない」と頼もしい答えが返ってきた。

 今月7~13日は「しもつかれウイーク」を開催。約40の団体や個人が参加し、各店でのテークアウトやオンラインでのトークライブを実施している。

■しもつかれ

 サケの頭と大豆、ダイコン、ニンジン、酒粕を煮込んだ県の郷土料理。茨城県や群馬県、福島県の一部でも作られる。正月や節分の料理の残りの材料を利用。「7軒のしもつかれを食べると無病息災」などのいわれがある。

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