インタビュー

日銀政策点検、資産買い入れと金利幅焦点

SMBC日興証券チーフマーケットエコノミスト 丸山 義正さん(48)

 --日本銀行は3月に金融政策の「点検」の結果を公表する。このタイミングでの点検の意味は

 「新型コロナウイルスの感染拡大で、2%の物価上昇率の目標が遠のく中、今の金融緩和を長く続ける上で、一度、整理しておこうというのが日銀の思惑だろう。日銀は点検する上でのキーワードとして、『効果的』『持続的』、そして『機動的』という言葉を打ち出している」

 --どういった点をチェックすると考えられるか

 「日銀は(短期金利をマイナス0.1%、長期金利の指標になる10年物国債利回りを0%程度に誘導する長短金利操作)『イールドカーブ・コントロール』(YCC)の大枠は変えないと明らかにしている。YCCは金利のコントロールとしてうまくいっている。ただ、その上で、日銀の黒田東彦総裁も言っているが、金融緩和が長くなると金融機関の収益が悪化する。そこに関しては(金融機関の収益の)下押し圧力をマイルドにしようということだ。ただ、マイナス金利は変えないだろう」

 --具体的には、どういったことが考えられるか

 「超長期金利については変動しうる方向にし、10年物国債の利回りも0%程度の誘導は変えないが、市場の状況に応じて、ある程度の変動を容認する方向にするのではないか。あくまでも(金利を)上げるという意味ではなく、変動しうるとの考え方だ」

 --上場投資信託(ETF)など資産の買い入れ策についてはどうか

 「資産価格が上がれば買わないし、下がれば買うということで、まさに機動的ということになるのだろう」

 --日銀は金融緩和の副作用を点検するのか

 「副作用は点検するが、『金融緩和の後退はない』というメッセージを出しているし、出すだろう」

■まるやま・よしまさ 1995年日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。大企業向け融資営業に従事した後、2001年より調査部にて日本経済および産業構造、企業行動の分析を担当。BNPパリバ証券、伊藤忠商事などを経て、14年8月にSMBC日興証券に入社。16年4月から現職。

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