海外情勢

中華圏、コロナ禍で異例の春節 イベント相次ぎ中止…でもホテルは満員

 中華圏は12日、旧暦の正月にあたる春節を迎えた。通常なら中国が帰省客でごった返す時期だが、今年は新型コロナウイルスの感染再拡大を警戒する当局が帰省自粛を呼びかけており、鉄道駅の利用者は例年より大幅に少ない。台湾でも恒例のイベントが相次いで中止になったが、そんな中でホテルは超満員といい、一風変わった春節となった。

 中国政府は「就地過年」(その場で年越し)をスローガンに帰省や旅行を控えるよう呼びかけている。春節を挟む40日間は政府主導の特別輸送態勢がとられるが、旅客数は延べ11億5200万人を見込む。コロナ禍前の一昨年と比べると6割超も少ない数字だ。

 各地方政府は帰省ラッシュを抑えようと独自の対策を打ち出している。中国メディアによると、北京市は春節連休中に市内で過ごす人々に総額4千万元(約6億5千万円)の商品券を配布。インターネット通販や飲食宅配サービスなどに利用できる。

 北京で春節を迎える人のために市内の一部書店は24時間営業を実施。市中心部の繁華街・王府井では、対象となった書店を多くの市民が訪れていた。

 一方、徹底した水際対策で新型コロナの感染を抑えてきた台湾でも、1月中旬に台北近郊の桃園市の病院で院内感染が発生し、新型コロナ患者の治療にあたった医師や看護師ら10人以上の感染が確認された。この病院に入院していた人やその同居家族など、隔離の対象者は最終的に5千人規模に膨らむ見通しとなり、緊張が走った。

 大型連休中は各地でコンサートなどの大規模イベントがめじろ押しのはずだったが、政府の要請で相次いで中止となった。各地の寺院では、総統や首長ら政治家が初詣に訪れる市民らに小銭の入った紅包(お年玉)を配る習わしがあるが、それも中止された。台北北部の寺院関係者は「今年の人出は例年の半分ぐらい」と話した。

 こうした中、中国では春節をホテルで過ごす富裕層が多いようで、大手オンライン旅行会社では北京、上海、広東省広州、浙江省杭州など大都市で宿泊施設の予約が増えている。台湾でも、海外旅行を断念して域内旅行に出かける人が増えており、観光地として知られる南部の墾丁や中部の日月潭付近のホテルは満員でキャンセル待ちが出ている。(北京 三塚聖平、台北 矢板明夫)

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