石油連盟の杉森務会長(ENEOSホールディングス会長)は17日の記者会見で、足元の原油価格の上昇基調について「将来への期待感に支えられている部分も大きい」と述べた。石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」の協調減産で供給は抑えられている半面、「需要がどんどん伸びて需給がタイトになっているかというと、原油調達をしている者としては、そこまでは感じていない」との見方を示した。
前日16日のニューヨーク原油先物相場は、米国産標準油種(WTI)が新型コロナウイルス感染拡大前の昨年1月以来約1年1カ月ぶりに終値で1バレル=60ドル台を回復。原油価格の上昇基調が顕著になっている。
杉森氏は今後の原油価格の注目点として、OPECプラスが3月に開く閣僚級会合で4月以降の協調減産の規模がどうなるか▽サウジアラビアが自主的な追加減産を続けるかどうか▽米追加経済対策の行方▽新型コロナの感染状況とワクチンの普及状況-を挙げた。
一方、政府は二酸化炭素(CO2)の排出量に価格付けを行う「カーボンプライシング(CP)」導入の検討を本格化させる。杉森氏は「幅広い観点から成長に資するCPが議論されることを期待する」とし、「単なる炭素税の上乗せや排出量取引では、エネルギーコストの高い日本がさらに競争力を失い、脱炭素化の鍵となる技術革新の原資も奪われ、成長に資するとはいえないのでは」と語った。