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認知症患者の預金、代理権のない親族の出金可能に 全銀協

 全国銀行協会(全銀協)は18日、認知機能が低下した顧客の預金を引き出す際、法的な代理権がない親族らの引き出しも認める「考え方」をまとめた。顧客の財産保護の観点から、認知症などによって判断能力が十分ではない人を保護するための成年後見制度の利用を促すのが基本とした一方で、制度を利用できないなどの場合には「極めて限定的な対応」として認めるとした。これまでは親族といえども本人の意思確認が必要だった預金の引き出しに関する慣例を見直す。

 預金の引き出しは本人の意思確認が必要で、親族であっても、引き出しを認めていなかった。認知判断能力が低下した顧客との取引は、成年後見人など法的な代理権を持つ人との取引を基本としてきた。

 ただ、第三者に家族の資産を預ける抵抗感や費用の問題などから、全銀協によれば、成年後見制度の利用者数は2018年12月末で約22万人にとどまる。このため、本人の医療費や施設入居費、生活費などの支払いなどで預金の引き出しが必要でも、親族が引き出せないなどの問題があった。

 今回の考え方では、「医療費の支払い手続きを親族などが代わりにする行為など、本人の利益に適合することが明らかな場合に限り、預金引き出しの依頼に応じることが考えられる」とした。本人が認知判断能力を喪失してることは、本人との面談や診断書の提出などで確認するとした。

 全銀協の三毛兼承会長(三菱UFJ銀行頭取)は18日開いたオンライン会見で「認知症という社会課題に対する対応を示すことができた」と述べた。

 金融庁は昨年、認知機能が低下した顧客が銀行窓口での預金引き出しで困らないよう、一定のルールを設けた上で親族らによる代理を認めるといった柔軟な対応を求めていた。

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