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妻夫木聡に長澤まさみも出演…中国の春節映画、今年の舞台は日本

 既に何を聞いても驚かなくなった中国経済の活況だが、それでもエンターテインメント界の数字は衝撃的である。たとえば映画の興行収入だ。毎回春節(旧正月)に書き換えられていき、新型コロナウイルス前の2019年は、春節初日の2月5日、一日の興行収入としては歴代最高の14億3100万元(約234億8300万円)を記録した。ちなみに日本では19年の年間興行収入は2611億8000万円で、中国は春節1日だけで、日本の年間興行収入額の10%以上を達成した計算になる。(ノンフィクション作家・青樹明子)

 そして21年1月29日午前8時。今年の春節映画・前売り券が発売開始になった。5日目の2月2日午前8時には、販売額が2億1500万元を超えたというが(人民網日本語版)、これはコロナの影響が完全に払拭されていないなかでの数字である。

 前売りランキングで首位に立ったのが『唐人街探案3(僕はチャイナタウンの名探偵3)』で、発売初日だけで5000万元を突破。公開後は4日間で興行収入が30億元を超えた。この作品は人気シリーズの第3作で、日本人として無視できないのは、舞台が日本であるということだ。

 中国のスター、劉昊(こう)然さん演じる青年探偵と王宝強さん演じる彼の叔父が、世界のチャイナタウンで起こる事件を解決していくというミステリー・コメディーで、1作目はタイ、2作目はニューヨーク、そして3作目が東京である。密室殺人事件を軸に、温泉、相撲、歌舞伎町などが次々と登場する。中国人がイメージする「日本」が満載で、そこに「やくざ」がからみ、ミステリー度もコメディー度もステージアップしているという。

 出演者も豪華である。中華圏で人気の日本人スターがこぞって登場していて、前作から出演している妻夫木聡さんの他、台湾ドラマに中国語で主演した長澤まさみさん、中華圏ではいまだに「神スター」の三浦友和さん、日本語学習者のバイブル『東京ラブストーリー』の鈴木保奈美さん、そして日中合作映画『空海』に主演した染谷将太さんなどである。

 ここで思い起こすのが08年の映画『狙った恋の落とし方。(非誠勿擾)』である。中国映画史上記録に残る大ヒット作だが、映画後半の舞台は、日本の北海道だった。釧路、阿寒湖、網走、厚岸、斜里、美幌などの美しい風景が描かれ、この作品を契機に、中国で北海道観光ブームが巻き起こった。これが日本経済に与えた影響を改めて言うまでもない。北海道への中国人観光客が激増し、釧路空港への国際便乗り入れも増加した。また、いいことか悪いことかは別にしても、中国人投資家による北海道の土地購入も増えた。

 コロナでインバウンド観光が消滅して1年になる。しかし疫病はいつかは収まるものだ。北海道ブームの次は東京・チャイナタウンかもしれないので、しっかり準備しておく必要がある。

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