海外情勢

ミャンマー経済打撃深刻化 工場稼働見通せず、駐在員現金不足も

 国軍によるクーデターから1カ月がたったミャンマーでは、進出する日系企業の業務への悪影響が強まっている。各社は新工場の稼働延期や駐在員の帰国を余儀なくされるなど、複雑な現地情勢が大きな不確定要因になっている。また現地銀行の営業停止で、駐在員の手持ち現金が不足し始めるという切実な問題もあり、混乱収束に向けた日本政府の対応への期待もある。

 トヨタ自動車は最大都市ヤンゴン近郊のティラワ経済特区に完成した新工場の稼働が遅れている。2月中の稼働開始を目指してきたが、2月27日に予定していた開業式典は延期になり、稼働開始時期を検討中だ。

 また、ミャンマーに2つのビール工場を持つキリンホールディングスは2月下旬から、稼働率を50%に落とし、26日には全駐在員を帰国させた。三菱商事や伊藤忠商事は不安定な治安を受け、駐在員らに原則として在宅勤務を指示した。

 一方、現地ではデモやボイコットの影響でさまざまな経済活動が停滞。銀行が職場ボイコットで営業できなくなり、駐在員の手持ちの現金が不足し始めるといった事態も起きている。さらに現地では一般的な現金による給与支払いが厳しくなることも懸念されるほか、海外からの送金が駐在員の受取口座に入金されないケースもあるという。

 公務員のデモ参加や職場のボイコットで通関業務も停滞しており、日本向け輸出で遅延などの問題が起きる可能性も高まっている。

 日本の経済界ではアウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)と国軍の両方にパイプを持つ日本の外交への期待も強い。日本商工会議所の三村明夫会頭は「日本政府は双方に関係があり、良い形で収めるように取り組んでもらいたい」と話している。

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