政府が水素、アンモニアといった燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さない脱炭素資源の確実な確保に向け、「包括的な資源外交」を推進していくことを次期エネルギー基本計画に盛り込む方針であることが1日、分かった。具体的には将来、水素やアンモニアの供給先となる可能性があるアジアなどの新興国のエネルギー安全保障に貢献することなどを通じ、脱炭素資源の安定確保につなげる方向性を打ち出す。
政府関係者が1日、明らかにした。2日に開催する経済産業省の検討会での議論などを経て、今夏にも改定するエネルギー基本計画に盛り込む考えだ。
これまで日本政府は、石油・天然ガスやレアアース(希少金属)などの金属鉱物資源の安定的な確保を目的として、資源外交を展開してきた。ただ、日本をはじめ世界各国が脱炭素に大きくかじを切る中、脱炭素燃料の確保への取り組みを開始する必要があると判断した。
現在、水素はほとんどが石油・天然ガス由来のため、ロシアや中東などの産油国との関係を重要な基盤と位置づける。一方で、今後、再生可能エネルギーを使ってCO2を出さずにつくるグリーン水素・アンモニアの輸出国となり得るインドネシアやマレーシアなど広くアジアの新興国や豪州などとの連携を強化する。
具体的には石炭よりCO2の排出量を抑制できる液化天然ガス(LNG)の水素化技術の導入などを支援。世界、特にアジアのエネルギー安全保障に貢献することで資源・エネルギーの安定供給を実現していく方向性を打ち出す。
アジアではマレーシアで余剰水力発電を使った水素製造、ニュージーランドでグリーンアンモニアのプロジェクトなどが実施されている。