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総務省幹部「さらなる疑念、深くおわび」 NTT接待認め陳謝 参院予算委

 総務省の谷脇康彦総務審議官が4日の参院予算委員会で、NTTの澤田純社長らと高額の会食を行っていたと認め、陳謝した。谷脇氏は菅義偉首相の長男、正剛(せいごう)氏が勤める放送事業会社「東北新社」からの接待問題で懲戒処分を受けたばかり。自身と関わりが深い同省幹部の度重なる不祥事に首相も防戦に追われた。

 谷脇氏はNTT側との会食が平成30年以降3回あったと認め、「出席者や金額は大臣官房で事実関係を確認中だ。国家公務員倫理法に抵触するものがあったか、なかったかを精査している」と説明した。加藤勝信官房長官は記者会見で、3日付で総務省が国家公務員倫理審査会に調査開始の通知を行ったとし、「迅速、正確かつ徹底して真相究明にあたってほしい」と述べた。

 谷脇氏は予算委で「国民にさらなる疑念を抱かせ、深く反省し、おわび申し上げたい」と陳謝。谷脇氏が東北新社以外の違法接待を否定してきたことを踏まえ、共産党の田村智子政策委員長が「虚偽答弁だったのではないか」と追及すると、「会食では先方が提示した金額を負担した。倫理法には抵触しないものとして報告しなかった」と語った。

 また、谷脇氏は通信事業関係者との会食はほかにもあったとし、これらを含め総務省の調査を受けていると説明した。総務省はNTTを含め通信事業者全般との会食実態を調べるとしており、8日の参院予算委理事懇談会で中間報告する。

 NTTの事業計画や取締役選出には総務省の許認可が必要で、同省幹部は国家公務員倫理規程上の利害関係者に当たる。規程は費用を自己負担すれば利害関係者との会食接待は可としているが、1万円を超える見込みなら原則、事前の届け出が必要となる。

 週刊文春の報道によると、澤田氏は30年9月に谷脇氏と会食し、会計は9万円弱だった。谷脇氏は別の幹部との会食も含め3回で計17万円以上の接待を受けた。

 田村氏は首相にも「高額接待はまだ隠されている可能性が濃厚だ」と質問。首相は「総務省として徹底して調査すると思う」と述べるにとどめた。

 総務相などを歴任した首相が影響力を持つ総務省内でも重用してきたとされる谷脇氏の新疑惑は今後の国会論戦にも影響を及ぼしかねない。政府高官は「事業者との付き合いをするなと言っているわけではない。矩(のり)をこえないことが大事だ」と頭を抱えた。

 立憲民主党の安住淳国対委員長は4日、自民党の森山裕国対委員長との会談で「常識を逸脱している」と批判。立民の難波奨二参院国対委員長は自民党の末松信介参院国対委員長と会談し、澤田氏を参考人として予算委に招致するよう要求した。末松氏は持ち帰った。

 NTTは産経新聞の取材に「会食に行ったことは事実だが、総務省において調査が開始され、弊社が調査の対象となっていることから、現時点においては、回答を差し控えさせていただきたい」とコメントした。(永原慎吾、児玉佳子)

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