緊急事態宣言再延長

飲食店「時短の根拠示して」

 首都圏4都県で発令中の緊急事態宣言の延長の方針について、自治体からの時短営業要請に応じてきた外食チェーン各社はおおむね冷静に受け止めている。ただ、外食自粛の呼びかけや飲食店への時短営業要請で消費者の来店動機も失われ、多くのチェーンが業績悪化に直面しており、営業時短要請の根拠の提示を求めるなど、一部からは延長による感染抑止効果に懐疑的な声も挙がる。

 「薄々は延長かもと思っていたので、早く分かったのだけはよかった。対応を継続すればいいだけだ」。これまで緊急事態宣言発令決定の直前まで要請内容が分からず、実施までの短期間での対応に追われてきた外食チェーンの担当者は、延長の方針に冷ややかな視線を向ける。

 居酒屋チェーン「塚田農場」を展開するエー・ピーホールディングスは「今は感染拡大を抑え込むことが重要。(予定通り解除して)数カ月後に再度、緊急事態宣言が出るという方が苦しい」と前向きに受け止める。

 居酒屋「和民」を運営するワタミでは、8日の緊急事態宣言解除に合わせ、首都圏の80以上の休業店舗で営業再開を計画し、食材調達や従業員の手当てを進めてきた。「緊急事態宣言が延長になっても、順次、店を開けて時短営業に移行させる」(担当者)方針という。

 一方、外食大手の一部からは延長方針に対し、「なぜ2週間なのか、飲食店の時短営業の継続がなぜ必要なのか。根拠を示してほしい」「感染クラスターの報道を見たが本当に外食なのか。感染を抑えこむために飲食店を時短営業にして、どれだけの効果が出たのか」と政府・自治体に延長根拠の提示不足を指摘する声も挙がった。

 また、別の外食チェーンの担当者からは「時短営業で勤務が減ったアルバイト従業員が、これまでの減収分を巻き返したいと(緊急事態解除後の)勤務シフトに入りたがっているケースも多い」との声が聞かれた。宣言が延長させると時短営業が継続となるため、こうした従業員らの期待も空振りとなりそうだ。

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