海外情勢

2プラス2 中国、「持久戦」の構えで米国の覇権に対峙する習指導部

 【北京=三塚聖平】米国が日韓との2プラス2で対中連携を強める一方、中国は18日に米アラスカで予定されるバイデン政権下で初の米中外交トップによる直接会談で関係改善を働きかけ、日米韓の連携にくさびを打ち込む考えだ。

 外交トップの会談は中国外交担当トップの楊潔チ(よう・けつち)共産党政治局員とブリンケン米国務長官らが行う。中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は12日の記者会見で、会談では「協力に焦点をあて、不一致をコントロールし、中米関係を安定して発展させることを望む」と呼び掛けた。同時に「主権や安全、発展の利益を断固守り抜く」と強く牽制(けんせい)した。

 中国外交学院の王帆(おう・はん)副院長は、同会談について「中国は断じて、核心的利益を犠牲にしない」と15日付の中国紙への寄稿で強調した。中国側は核心的利益である香港問題などで譲歩する考えがないことを明確にする方針だ。

 その一方で、習近平指導部としては当面、米国との全面対立を避けるため協力を模索する。習指導部は「持久戦」という言葉を使い、中長期的な戦略で米国の覇権争いを有利に進める意図を鮮明にしている。

 軍の制服組トップ、許其亮(きょ・きりょう)中央軍事委員会副主席は今月の全国人民代表大会(全人代)の会議で「トゥキディデスの罠(わな)」に言及したと香港紙が伝えている。これは新興大国が既存覇権国を脅かすことで戦争が起きるという理論。米国との衝突が念頭にあるのは明白で、許氏は軍の近代化を急ぐと表明している。

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