国内

脱炭素の取り組み“見える化”必要

 慶大教授 土居 丈朗さん(50)

 --国内でもカーボンプライシング(CP)の議論が加速している。その一つとして欧州連合(EU)などが進めている炭素国境調整措置への関心が高まっている

 「二酸化炭素(CO2)を排出する外国製品が廉価に輸入されると、いくらEU域内で脱炭素を強化しても、産業競争力が弱まるし、海外の脱炭素も進まない。この不公平を是正するために、外国からEU域内にCO2排出量の多い製品が入る際、国境で炭素税のような賦課金を徴収しようという動きがみられる」

 --制度の課題などは

 「特定の国、製品を狙い撃ちするとWTO(世界貿易機関)ルールに抵触する可能性が高い。抵触を避けるため、広範な製品に薄く賦課金をかけるという考えもあるが、製造や流通などの部分でどれだけCO2が発生したかを追う『カーボンフットプリント』の仕組みが整っておらず、実行は難しいとみられる」

 --日本企業への影響は

 「EUなどがどう制度を打ち出すか未定な中で、当面、日本企業は、カーボンニュートラルに対して海外に不熱心とみられることがないよう準備すべきだ。企業の自主行動計画として個社単位で『2050年カーボンニュートラル』表明の動きが出ているが、目標提示だけでなく、CO2・1トン当たりの削減にかかるコストなど、削減に向けた取り組みの“見える化”をしっかりと行い、海外にこれだけやっていると打ち出す必要がある」

 --日本におけるCPの課題は

 「きちんと脱炭素対応をしていれば炭素税がかからないわけで、単なる負担増になるという議論ではなく、炭素税がかかるか否かで、CO2削減対策をした製品を消費者が選択する流れになればよい。CPの意義は関係者だけでなく、広く国民に浸透されなければならない」

 どい・たけろう 東京大大学院経済学研究科博士課程修了。東大社会科学研究所助手、慶応大経済学部助教授を経て、2009年4月から現職。東京財団政策研究所上席研究員をはじめ、政府税制調査会委員や行政改革推進会議議員なども務める。奈良県出身。

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