海外情勢

バイデン米政権との初協議に臨む中国 「過大な期待や幻想ない」

 【北京=三塚聖平】中国国営新華社通信によると、崔天凱(さい・てんがい)駐米大使は米アラスカ州アンカレジで17日、同地で行われるバイデン米政権下で初の外交トップによる直接会談について「一回の会談で中米間の全ての問題を解決できるとは見込んでいない」と述べた。「過大な期待や幻想はない」とも強調し、中国に厳しい姿勢で臨む米側を牽制(けんせい)した。

 中国は、会談を通じて米中関係改善の糸口を探りつつも、対中圧力を強める米側に安易な譲歩は行わない構えを示す。崔氏は「核心的利益において、中国には妥協や譲歩の余地はない」と強調した。

 米中対立の長期化も見据え、米国と同盟国との結束の綻(ほころ)びを狙う動きを中国側が本格化させるとみられる。カードの一つになりそうなのが韓国との接近だ。習近平国家主席の訪韓を実現させ、文在寅政権が重視する北朝鮮問題での協力姿勢を示す可能性が指摘されている。

 一方で、中国は日本への反発を隠さなくなっている。中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は17日の記者会見で、特に日本を名指しして「中国の台頭や復興を阻止するという自らの利益を満たすため、喜んで人の鼻息をうかがい、米国の戦略的な属国となった」と非難。最近はなかった強いトーンの対日批判だった。

 安倍晋三前政権下で日中関係の改善傾向が続いていたが、菅義偉政権が米国とともに対中連携を深めていることにいらだちを強めているとみられる。

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