国内

新千葉知事、小池氏と連携されたら…首都圏の構図変化か

 21日投開票の千葉県知事選で元千葉市長の熊谷俊人氏が初当選したことで、新型コロナウイルス対策をめぐる首都圏1都3県の構図に変化が生じそうだ。森田健作知事は菅義偉(すが・よしひで)首相に近く、コロナ対策で政府の「後手」を印象付けようとする東京都の小池百合子知事の動きを首相と連携して封じた。これに対し熊谷氏は選挙戦で森田氏批判を繰り返しており、首相と直接のパイプもない。就任後は森田氏とは異なるスタンスを取るとみられ、小池氏にとって有利な環境となる可能性もある。

 瓦解した「ワンボイス」

 1都3県のコロナ対策をめぐっては、7日を期限としていた緊急事態宣言の延長に関し、小池氏が「他の県も賛成している」と神奈川県の黒岩祐治知事らに事実とは異なる説明を行い、強引に政府への延長要請を主導しようと画策。これに黒岩、森田両氏が反発し、1都3県の「ワンボイス」は瓦解(がかい)した。

 その後、黒岩氏がテレビ番組でこの経緯を暴露したことで、小池氏は逆風にさらされる。政府が18日に緊急事態宣言を期限の21日で解除する方針を発表した際は目立った動きを控え、1都3県の知事会談に出席した関係者も「全く元気がなくなったよね」と明かす。

 森田氏批判の熊谷氏…どう動く?

 こうした1都3県の知事による攻防の裏では、森田氏らが首相と緊密に連絡を取り、意思疎通を図ってきた。その森田氏が知事選出馬を見送り、自民党の推薦候補も熊谷氏に敗れた。

 「1都3県の連携も大事だ。1都3県で早めにビジョンを共有する。その一翼に私も入り、少しでも1都3県が一つになるように役割を果たしていきたい」

 熊谷氏は選挙戦最終日の20日、こう強調した。選挙期間を通じて森田氏批判を展開し、県政刷新を訴え続けた。新型コロナ対策でも森田氏とは異なる動きを見せる公算が大きく、自民党内には「小池氏と連携して政府を批判し、存在感を高めようとするのでは」との警戒感も広がっている。

 ただ、熊谷氏は平成29年5月、東京五輪の運営費負担をめぐり、小池氏が開催自治体との合意前に、自治体も負担する方向で大筋合意したかのように情報発信したことに反発。自身のツイッターで「いつまで続くんですかね、このやり方」と不快感を示した。感染対策でも小池氏と鋭く対立する可能性も捨てきれず、熊谷氏が小池氏に近づいても離れても、政権にとっての不安定要素となりかねない。(大島悠亮)

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