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相次ぐ法案ミス、官僚の激務も影響? 政治と官僚の関係変化が背景か

 今国会で政府提出法案などに誤記などのミスが相次ぎ、野党が国会軽視などと批判を強めている。与党幹部も苦言を呈するが、新型コロナウイルス対策で官僚の業務が増えたことに加え、官邸主導による政治と官僚の関わりが変化していることが背景にあるとの見方もある。

 発端となったデジタル改革関連法案をめぐっては、参考資料に誤記など45カ所の誤りがあった。政府は10日の衆院内閣委員会理事会に正誤表を提出したが、そこにもミスが判明した。平井卓也デジタル改革担当相は12日の衆院内閣委員会で、再発防止チームを設置し、今月中に改善策をまとめる方針を示した。

 「大部にわたる法案を若い職員だけで読み合わせするには何十時間もかかる」

 平井氏は同委で、関連法案が60を超える法案をまとめた「束ね法案」であることを踏まえ、法案を担当する内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室に相当の負荷がかかっていたと強調した。同室が新型コロナのワクチンやアプリに関する業務を抱えていたことを念頭に「働き方改革の面でも問題と思った」と述べた。

 同室の担当者はミスについて「確認不足だった。重層的にチェックしていなかった」と釈明するが、別の省庁幹部は、IT室には各省庁からの出向職員が多く「コミュニケーション不足もあったのではないか」と推測する。

 法案は(1)案文(2)理由(3)要綱(4)新旧対照表(5)参照条文で構成され、通称「5点セット」と呼ばれる。このうち要綱、新旧対照表と参照条文は参考資料として添付される。法案の核である案文は、どの省庁でも読み合わせを重ね、誤記を見つけるチェックソフトなども使って確認する。デジタル改革関連法案も案文に誤りはなかったが、手作業での確認が基本となる要綱と新旧対照表、参照条文で誤りが見つかった。

 ところがその後、産業競争力強化法と銀行法両改正案の案文にもミスが見つかった。立憲民主党の安住淳国対委員長は「優秀といわれていた官僚機能が劣化している」と批判し、官僚出身の自民中堅議員も「昔はあまり考えられなかった問題だ」とあきれる。

 霞が関への風当たりは強まる一方だが、構造的な問題を指摘する声もある。

 官僚出身の自民若手議員は「官邸主導が進み、政治家への忖度(そんたく)としか思えない仕事が増え、若手を中心に官僚の士気が低下している」と危惧する。野党が各省の担当者を呼ぶヒアリングが負担を増やすとして、見直しを求める声もある。

 政府の重要政策に関わる自民の若手議員は「官僚が働きやすくなるよう、与党も含め政治の側が考える時期に来ている」と語る。(長嶋雅子、今仲信博)

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