海外情勢

露、韓国引き込み狙う 外相会談「6カ国」再開支持

 【ソウル=桜井紀雄】ロシアのラブロフ外相と韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相は25日、ソウルで会談し、弾道ミサイルを発射した北朝鮮をめぐる情勢について協議した。会談後の共同記者会見でラブロフ氏は、米朝韓に中露や日本も加わる6カ国協議を念頭に「全ての関係国による交渉プロセスの早期再開」に支持を表明した。

 バイデン米政権と中露との対立が深まる中、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が熱心に模索する北朝鮮との対話再開を積極的に支持することで、中露陣営に韓国を引き込もうとする思惑もにじむ。

 ラブロフ氏は、新型コロナウイルスのロシア製ワクチンを韓国企業が受注生産していることを挙げ、両国の協力が「模範事例になっている」と評価。ロシアにとって韓国は「アジア太平洋地域において重要で、潜在力が大きなパートナーだ」とたたえた。文政権が重視する防疫分野の協力を持ち出して結び付きの強さを誇示した形だ。

 ラブロフ氏は朝鮮半島情勢をめぐり、「全ての関係国が軍拡競争を放棄する」必要性も強調した。ミサイル発射を再開した北朝鮮だけでなく、それと対峙(たいじ)するバイデン政権も牽制(けんせい)したといえる。会談に先立つ韓国記者団の取材では、日米のインド太平洋戦略について「特定国家の抑制が目的」だとし、対中国包囲網の構築を批判した。

 ラブロフ氏は、訪韓前の中国訪問で王毅国務委員兼外相と、米国を念頭に「人権問題を口実にした他国の内政への干渉」に反対する共同声明を発表した。

 文政権は北朝鮮を刺激しないよう北朝鮮の人権状況批判を避け続け、23日に国連人権理事会が採択した北朝鮮人権決議では共同提案国への参加を3年連続で見送った。バイデン政権が人権問題を最重視する中、文政権のこうした弱腰が中露に付け入られる隙を生んでいる。

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