市場では、ホワン氏自身への関心も強まっている。豊島氏によると、ホワン氏は1980年代に名をはせたヘッジファンドのエース級ファンドマネジャーで、アジア株の運用を担当していた。こうした経緯もあって、現在も日系金融機関との取引が多いようだ。
一方、ホワン氏をめぐっては2012年、業務上知り得た情報を悪用したインサイダー取引が発覚し、「大手投資銀行のブラックリストに載った」とのきな臭い過去も取り沙汰されるという。
この「事件」を契機に、ホワン氏は第一線から身を引いたが、今回の騒動を通して、情報開示義務のない資産管理会社を隠れみのに積極運用に興じていたことが露見した。トランプ米前政権下で進んだ金融規制のゆるみと大規模な金融緩和に支えられた歴史的な株高が、ホワン氏をリスクを過剰に負う運用に走らせた可能性がある。
一連の問題は米国株式市場に2つの大きな変化をもたらすとみられ、ウォール街は警戒を強めている。
ひとつは金融規制の再強化だ。豊島氏は「バイデン新政権の下で、米証券取引委員会(SEC)は規制強化に乗り出す可能性がある」と指摘する。
もう一つは、株式市場の民主化の進展だ。「カリスマファンドマネジャーだったホワン氏は一部の個人投資家が敵視するウォール街や富の象徴といえる」(豊島氏)。個人投資家がSNS(会員制交流サイト)上で結託し、特定の銘柄の株価を吊り上げヘッジファンドに損失を負わせた騒動のように、株式市場の民主化の流れを加速させる可能性がある。