【ニューヨーク=平田雄介】国連安全保障理事会は3月31日、国軍のクーデターによる混乱が続くミャンマー情勢を議論する緊急会合を非公開で開いた。国連のブルゲナー事務総長特使(ミャンマー担当)は内戦や大虐殺が起きる可能性があるとして、安保理の断固たる行動を求めたが、国軍関係者への制裁など踏み込んだ対応には至らなかった。
国軍幹部らに対する制裁を求める米欧に対し、中国やロシアなどが慎重な姿勢を示したとみられる。中国の国連代表部によると、張軍国連大使は会合で「一方的な圧力や制裁など強制的手段の要求は状況を悪化させるだけだ」と訴えた。
終了後、会合を要請した英国のウッドワード国連大使は記者団に「われわれは次のステップに向けた協議を続けていく」と語り、弾圧を終わらせるために「あらゆる手段を検討しなければいけない」と強調した。
議長を務めた米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は、同時に討議したソマリア情勢についてのみ記者団に説明した。
ミャンマー国軍幹部らへの制裁を始めている米国の議長国の任期は31日で終了し、4月1日からはベトナムに交代する。国連筋によると、ベトナムはインドなどとともに、国軍の暴力を強く非難した3月の議長声明の際に修正を要求した。今後の安保理の活動は停滞するとの懸念が出ている。