海外情勢

米国務長官のブリンケン氏、同盟諸国との「ワクチン外交」主導を表明

 【ワシントン=黒瀬悦成】ブリンケン米国務長官は5日、国務省で演説し、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に終止符を打つため、日本など同盟・パートナー諸国と連携してワクチンを生産し、全世界に供給することを目指す「ワクチン外交」を主導していくと表明した。

 ブリンケン氏は、在外公館の職員を含め全ての米国人にワクチンを普及させることが先決だと指摘した上で、その後は「米国が世界規模で難局に対処する必要がある」と指摘。「史上最悪の一つとされる今回の疫病を撲滅することで、米国の指導力と創造力が何を成し得るかを世界に示すことができる」と強調した。

 ワクチンの開発と供給をめぐる国際協力の具体例としては日米とオーストラリア、インドの4カ国(通称クアッド)で最近合意した枠組みを挙げ、4カ国の連携で「ワクチンの生産能力は向上し、迅速な普及が進みつつある」と述べた。

 ワクチンを共同購入して途上国にも供給する国際枠組み「COVAX(コバックス)」に拠出表明したことも強調した。

 ブリンケン氏はまた、中国やロシアが国際的な影響力を拡大させる思惑からワクチン外交を展開しているのを念頭に「私たちはワクチン投与と引き換えに政治的な取り計らいを求めることはしない」と語った。

 中露のワクチンの安全性が不安視されていることに関しては「他国にも安全で効果の高いワクチンだけを供給する」と表明した。

 さらに「次なる疫病に備えるため、世界的な保健衛生の制度的な改革と強化」が必要だと訴え、中国が隠然たる影響力を行使する世界保健機関(WHO)の改革への意欲を示した。

 ブリンケン氏は、オバマ元政権下でエボラ出血熱対策などを担当したスミス元国際開発局(USAID)長官を新型コロナ対応の国際調整官に起用することも明らかにした。

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