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コロナ禍で需要増の自転車 違反・事故防止に対策

 新型コロナウイルス禍でニーズが高まった自転車だが、一方で違反行為も増加しており、昨年全国の警察が摘発した違反行為は最多の2万5465件。乗車中の死傷者数は減少傾向にあるものの年間6万人以上いる。事故を減らそうと、大阪府警は新たに動画を作成し、府内の電子機器メーカーは食事宅配サービス向けの表示器を開発するなど、官民の関係者が対策に乗り出している。(木下未希)

 「これからも交通ルールを守って、安全に届けてくださいね」。吉本新喜劇の吉田裕(ゆたか)さんが「せんのか~い」というおなじみのギャグを織り交ぜ、自転車配達員にマナーアップを呼び掛ける。春の全国交通安全運動(6~15日)に合わせ、大阪府警が吉本興業や食事宅配サービスの「出前館」と協力して作成した啓発動画だ。動画制作の背景にあるのは、一部について自転車マナーがよくないと問題視されていることがある。

 警察庁のまとめでは、昨年1年間に全国の警察が摘発した自転車の違反行為は平成18年の統計開始以降で最多の2万5465件。自転車乗車中の事故死者は419人で、約8割の333人に違反があった。

 事故自体は減少が続いているが安心はできない。大阪府警によると、府内では交通事故全体が減少する中で全体に占める自転車関連事故の割合は近年右肩上がりに。昨年の府内の全事故2万5543件のうち自転車関連事故は8774件で、占める割合は34・3%だった。

 自転車配達員をめぐっては昨年4月、東京都内で死亡事故が発生。11月には東京・池袋で歩行者をはねて負傷させたのに逃げたとして道交法違反(ひき逃げ)容疑などで30代の配達員の男が書類送検されたことも判明した。

 こうした状況を受け、今年の春の全国交通安全運動では「自転車の安全利用の推進」が重点の一つに掲げられている。

 一方、au損害保険が昨年9月、自転車利用者千人にインターネットでアンケートしたところ、コロナ禍で自転車利用が増えた人は239人(23・9%)。理由(複数回答)は、外出自粛による運動不足解消のため▽ほかの移動手段より感染リスクが低いと思うため▽外出自粛のストレス解消のため-の順に多く、「自転車宅配サービスを始めたため」との理由もあった。コロナ禍によるニーズの増加で違反や事故の発生が心配されている。

 こうした中、食事宅配大手「ウーバーイーツ」は、全国の配達員がダウンロードするアプリに自転車の交通ルールを表示する「交通安全チェックリスト」を導入。監修した「日本サイクリング協会」の小林博事務局長は「自転車は自由な乗り物だが、夜間のライト点灯や車道を逆走しないなどルールが認知されていないケースが多い。運転手側の事故防止の意識を徹底してもらいたい」と話す。

 一方、大阪府吹田市の電子機器メーカー「電子技販」は、配達バッグにつける発光ダイオード(LED)表示器を開発した。配達員の背後を明るく点灯することで、夜間のドライバーによる見落としを防ぐ効果が期待される。

 北山寛樹代表取締役(49)が食事宅配サービスの自転車事故が相次ぐことに危機感を抱き、3月に考案。小型(縦約4センチ、横約16センチ)と大型(縦約6センチ、横約26センチ)の2種類あり、ソーラーパネルが搭載され、昼間充電すれば最大連続12時間使用できる。

 基板には多数のLEDが組み込まれ、専用アプリで文章を入力すれば表示器に投影することもでき、企業の広告宣伝などにも活用できる。北山さんは「工夫次第でさまざまな用途で活用できる。ぜひコロナ禍で頑張る配達員の力になれれば」と話している。

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