海外情勢

カンボジアの市中感染「最悪」に 首都封鎖、経済活動へ影響必至

 カンボジア政府は4月14日深夜、15~28日の2週間、首都プノンペンおよび隣接するカンダル州タクマウを、新型コロナウイルス感染拡大抑止のためロックダウン(都市封鎖)すると発表した。カンボジア国内では2月20日以降、プノンペンを中心に市中感染が広がり続けており、これまでで最悪の状況となっている。

 カンボジアは、2020年1月末に初めての新型コロナ感染者が確認されてから同11月まで市中感染がなく、感染拡大が抑制されていた。しかし同月に初めての市中感染が発生。これは小規模で収束したが、今年2月20日にプノンペンで新たな市中感染が発生した。「2・20事案」と呼ばれる市中感染はすぐに他の地域にも広がり、4月半ばまでに24州・都のうち20州・都に拡大。感染者数は4000人を超えた。また、3月11日には国内で初めての新型コロナによる死者を確認。死者も増えて4月半ばまでに35人に上っている。

 部分的制限、効果なし

 カンボジア政府は、感染者が出た地域の部分的なロックダウンなどを実施。さらに人の移動が増える4月14~16日の「カンボジア正月」の連休に備え、州を越える移動を禁止するなどの措置をとってきたが、感染拡大の勢いは衰えなかった。特に、プノンペン中心部のオルセイ市場や郊外の縫製工場で数百人単位の集団感染が発生し、政府や保健当局にも衝撃を与えた。部分的な行動制限だけでは危機的状況に陥ると判断したとみられる。

 さらに懸念されているのが医療崩壊だ。カンボジア保健省によれば、4月半ば現在で治療中の感染者は2500人余り。保健省は既に3月、「軽症者あるいは無症状者は陽性と判定されても自宅で待機するように」との通達を出している。同時に、プノンペン都の高校や、埋め立て地「ダイヤモンドアイランド」の結婚式場や展示場として利用されていた施設にベッドを並べ、感染者の臨時治療施設としている。保健省からは、重症者の数などのデータは発表されていないが、今後の集団感染や重症者増加に備える措置とみられる。

 こうした中で発令されたプノンペン都および隣接するカンダル州タクマウのロックダウンは、さまざまな例外規定を設けているとはいえ、当地の生活と経済活動に大きな影響を与えそうだ。

 カンボジア政府の発表によれば、都内在住者は原則的に外出が禁止される。食料品や生活必需品を販売するレストランやスーパーマーケットなどの営業は許可されているが、レストランは配達や持ち帰りのみが許され、また1世帯につき最大2人が、週に3回まで買い物のために外出できることになっている。一方で、営業を許可されている企業もあり、その場合は雇用証明書を持ち歩かなければならず、ロックダウン初日の4月15日には移動しようとする人で各所の検問が混雑した。

 ワクチン接種推奨

 カンボジア国内では新型コロナのワクチン接種が開始されている。保健省によれば、4月半ばまでに約100万人が少なくとも1回目の接種を受けたという。カンボジア国内ではインド製と中国製のワクチンが使用されている。国際機関の勤務者が優先されるなど順位があるが、在住の外国人も労働許可証などがあれば、個人の意思に基づき無料でワクチン接種を受けることが可能だ。カンボジア国内では、ワクチン接種の副反応に関する報道はほとんどみられず情報は少ないが、政府は特に公務員に対し、ワクチン接種を強く推奨している。

 カンボジアの隣国タイでは、一時、感染が抑制されていたものの4月に入ってからは1日の新規感染者が900人を超え、急増している。同じく隣国のベトナムは1日の新規感染者数が10人以下に抑えられており、累計の感染者数も2700人余りとカンボジアの6割程度に落ち着いている。どちらの国も国境地帯での厳格な防疫措置が続いているが、経済活動を継続しながら感染の流出入をどう防ぐのか、国を超えた協力がますます重要になっている。(カンボジア日本語情報「プノンネット」編集長 木村文)

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