海外情勢

ASEAN首脳会議、ミャンマーでの暴力停止で合意

 【シンガポール=森浩】東南アジア諸国連合(ASEAN)は24日、インドネシアの首都ジャカルタで、ミャンマー問題を議論する特別首脳会議を開催した。会議にはミャンマー国軍のミン・アウン・フライン総司令官も出席し、暴力の即時停止を含む5項目が合意された。確実に実行されれば市民への武力行使停止につながるが、国軍がどこまで合意を順守するかは不透明だ。

 5項目は会議後に議長国ブルネイが発表した声明に盛り込まれた。暴力を即時停止し、全当事者が最大限の自制を行うことや、ASEAN議長国が特使をミャンマーに派遣して当事者間の対話を促すことなどで合意に達した。

 議長声明では犠牲者が745人(23日時点)に上るミャンマー情勢について、「深い懸念」を表明。平和的解決策を促進する上で、「ASEANが積極的かつ建設的な役割を果たす」と明記した。会議では一部加盟国から全政治犯の解放を要求する声が上がったが、アウン・サン・スー・チー氏らの解放では合意できず、市民の反発の沈静化につながるかは不透明だ。

 会議後に取材に応じたシンガポールのリー・シェンロン首相は、会議で一定の成果があったことを強調しつつ、「暴力を止めると言っても、それを実行に移すのは別のことだ」と述べ、国軍に対して合意に従うことを強く要求した。

 会議は域内の盟主を自任するインドネシアのジョコ大統領の呼びかけで開催された。これまでASEANは内政不干渉の原則が足かせとなり、ミャンマー情勢をめぐって存在感を発揮できておらず、問題解決を主導できなければASEANの求心力が弱体化するとの危機感があった。

 総司令官は2月1日のクーデター以降、初の海外訪問。会議出席を通じて、国際社会から正統な政府としての承認を得たい考えがあったもようだ。

 ただ、首脳会議にはタイ、フィリピン、ラオスが首脳の出席を見送って外相を派遣するなど、ミャンマー問題をめぐっては加盟国に温度差が存在する。インドネシアとシンガポール、マレーシアは国軍の弾圧を厳しく非難。一方、強権体制のタイやカンボジア、社会主義国のベトナムはこの問題での深入りを避けている。

 ミャンマー情勢をめぐり、東南アジア諸国連合(ASEAN)特別首脳会議が議長声明に盛り込んだ合意項目は次の通り。

 一、暴力を即時停止し、全当事者が最大限自制

 一、全当事者が平和的解決に向け対話を開始

 一、対話促進に向けASEANが特使を派遣

 一、ASEANによる人道支援の提供

 一、特使はミャンマーで全当事者と面会

(共同)

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