埼玉県秩父市は来年にも、過疎化が進む山間部に小型無人機(ドローン)を使って食料品や日用品を運ぶ事業に着手する。楽天、ゼンリンなどの民間企業と協力して先端技術を活用する。加えて、オンライン診療の事業化も図り、人口減少や高齢化に対応した「秩父モデル」として全国に波及させることを視野に入れる。
ドローン配送は、昭和35年時点と比べ人口が1割以下に減少した大滝地域(約650人)で導入する。「道の駅大滝温泉」にドローンが離着陸する給電設備(ドローンポート)を設置し、地域内の集会所などと結ぶ計画だ。
すでに飛行ルートも決めており、今後、楽天やゼンリンなどと実証実験に入る。将来的には、集会所などから各世帯まで自動運転車で荷物を運ぶことも検討している。
過疎地域の課題である医療提供体制の維持に向け、ドローンを活用したオンライン診療の事業化も同地域で模索する。患者がタブレット端末などで医師から診察を受け、処方薬をドローンで運ぶ計画を構想しており、現在、三菱総合研究所などが情報収集に当たっている。
市の担当者は「住民らの利便向上を図り、人口減少、流出を食い止めて地域の活力を生み出す」と話している。(中村智隆)