日本銀行は27日の金融政策決定会合後、先行きの経済成長率と物価上昇率の予想を示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表し、2021年度の物価上昇率の見通し(中央値)を1月時点の0.5%から0.1%に引き下げた。黒田東彦総裁は会合後の会見で「携帯電話料金の引き下げは、消費者物価の前年比を0.5~1ポイント程度下押しする」と、見通し引き下げの要因を指摘した。
ただ、新型コロナウイルスの感染拡大による消費低迷を受けた企業の値下げ行動も和らぎ、携帯電話料金の引き下げも一時的な要因と想定し、22年度の物価上昇率見通しは引き上げた。
一方、海外経済の回復による生産や輸出の好転で、21年度の実質国内総生産(GDP)の成長率見通しは従来予想を引き上げた。景気は「引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している」との判断を据え置いた。
この日の決定会合では、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に誘導する大規模な金融緩和政策の維持を決めた。