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低温物流市場が活況、進む冷蔵倉庫建設

 ベトナムは自然環境に恵まれ、2020年の農林水産物の輸出額は世界16位である。原産地としてのみならず、食品加工業も近年発展し、人口1億人が中間所得層へ向かうなど消費地としても注目されている。障害となっているのがコールドチェーン(低温物流)だが、その状況も変わりつつある。

 年平均20%成長予測

 ユーロモニターの調査(19年)によると、ベトナム小売市場のうち冷蔵輸送が必要な食品・医薬品市場は20年に約100億ドル(約1兆833億円)で、コールドチェーン市場は19年から23年にかけて年平均約20%で成長すると推定されている。消費が生鮮市場からスーパーマーケットにシフトすると、消費者の目が肥えて食品鮮度の重要性が増し、コールドチェーンに対する需要を押し上げる。

 冷蔵倉庫の大型化は1996年のKonoike Vinatrans Logistics(鴻池運輸との合弁)に始まり、2007年にはHung Vuongが4万パレット(荷役台)の冷蔵倉庫を建設。ベトナム商工省によると冷蔵倉庫は需要の30~35%を満たしており、19年末には冷蔵倉庫が48棟、総容量が60万パレット、稼働率が80%である。

 倉庫数の75%、総容量の87%が、農水産物輸出の中心であるベトナム南部に集中している。従来、冷蔵倉庫は小規模なものがほとんどで、一貫した物流工程を構成しにくい状況だったが、近年大型化が進んできた。東アジア・アセアン経済研究センターの調査(19年)によると、Mekong Logistics、ABA Cooltrans、Emergent Cold(米国)、Hoang Lai Groupなどの物流大手の冷蔵倉庫の容量が各5万パレット、Meito Vietnam(日本)が3万パレット、Lotte Logistics(韓国)やPreferred Freezer Services(米国)が2万パレットと続く。

 大手水産加工会社はHung Vuongが1兆3000億ドン(約61億1000万円)を投じ、ホーチミン市に6万パレットの冷蔵倉庫を新設している。他社は3000~1万パレット程度が多い。冷蔵車については、同省の調査(18年)によると車両輸送のうちの0.3%のみで、米国の1%、英国やドイツの2~3%に比べても拡充が必要である。

 追加投資額2500億円

 今後の冷蔵倉庫の投資額を考えてみる。現在の市場を60万パレットとし、必要市場の30%を満たす場合は、全体で200万パレット。年平均約20%で成長する場合は23年に増加分が240万パレットと需要を超えるラインとなり、Hung Vuongの規模当たりの投資額から計算すると、追加の投資額は約2500億円に上る。

 これだけの投資額は容易でなく、電気代の工場優遇価格が適用されないなど政策的な補助は弱い。それでも、新型コロナウイルスの影響もあり大手物流センターは人員削減と自動化を進めており、当面、冷蔵倉庫建設の活況が続きそうだ。

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 B&Company株式会社:日系初のベトナム市場調査専門企業。同社サイトではベトナム国内での企業調査や消費者調査の結果を公表している。問い合わせ先:info@b-company.jp

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 「ASEAN経済通信」https://www.asean-economy.com

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