国内

顧客の声を商品づくりに反映

第一三共ヘルスケア CS推進部VOCグループ長 秦 光伸さん(44)

 --仕事内容は

 「『使いづらい』『こんな製品が欲しい』など、お客様相談室に寄せられるさまざまな顧客の声を分析し、関係部門に改善提案などをしている。顧客の声を商品づくりや事業活動に反映させる役割だ」

 --商品づくりに生かした例は

 「解熱鎮痛薬『ロキソニンS』では、1回に服用する錠剤の数を間違いやすいとの声をいただいた。そのため昨年から錠剤を包装している『PTPシート』の表面にも1回1錠と記載し、押し出して服用する際に目に入るようにした。また、(薬の表面を糖衣で覆った)糖衣錠の総合感冒薬『新ルル-A錠s』は、形状が分からないとの意見をいただき、2年前からパッケージにイラストを入れている。些(さ)細(さい)なことではあるが、顧客に必要な情報を伝えるという点ではとても重要な変更だ」

 --こうした取り組みはいつから行っているのか

 「2017年にCS推進部が新設されたのを機に本格化させた。以前は各部署の各担当者が裁量の範囲内で行っていたが、CS推進部が一元的に顧客の声を吸い上げ、分析し、社内に伝えることで推進力が増した」

 --社内の意思決定プロセスも改善した

 「パッケージの表示変更一つとっても、複数の部門と連携する必要がある。容器の変更となればなおさらだ。(改善の)決定をスピーディーに行うため経営層が参画する会議を新設し、その中で議論、確認をしている」

 --今後の抱負は

 「各部門が考え抜いた末に製品化されたとはいえ、製品を使うのはあくまで顧客だ。発売後に顧客の指摘で想定していなかったことが判明することは多々ある。顧客の(健康や病気に対する)悩みを深く理解し、製品の使われ方を発売後も考え続ける愚直さを持ち続けたい」

 しん・みつのぶ 早大社会科学卒。2000年山之内製薬(現アステラス製薬)入社。07年第一三共ヘルスケア入社。経営企画部やマーケティング部を経て、19年から現職。神奈川県出身。

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