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インドネシアと艦艇共同生産、海自装備原型に 安保協力を強化

 日本政府が海上自衛隊の護衛艦を原型にした「共同生産」方式で、インドネシアへの艦艇の受注を目指すことが11日、分かった。平成26年策定の防衛装備移転三原則で「輸出」を認め得るのは救難や警戒監視などに用いられる装備に限られ、殺傷能力のある護衛艦を移転するには輸出ではなく、共同生産でなければ認めにくいためだ。艦艇の共同生産が実現すれば初めてとなる。

 インドネシアへの艦艇移転は日本とイタリア、トルコが受注を争う。日本が受注すれば共同生産を通じ、ASEAN(東南アジア諸国連合)の大国であり、南シナ海で中国の威圧にさらされるインドネシアとの安全保障協力を強化でき、対中牽制(けんせい)で意義が大きい。

 インドネシアとの共同生産で原型にするのは最初の艦艇が来年3月に就役予定の海自の新型護衛艦「FFM」。対潜戦や対空戦、水上戦闘に加え、対機雷戦機能も備えたのが特徴だ。

 装備の海外移転に道を開いた防衛装備移転三原則では、輸出を認め得るのは(1)救難(2)輸送(3)警戒(4)監視(5)掃海-という用途の装備を想定している。昨年8月、国産初の「完成品輸出」としてフィリピンと契約した防空レーダーは警戒と監視に当てはまる。艦艇では救難艦や輸送艦は輸出を認め得るが、艦砲などを搭載した護衛艦は認めにくい。

 その上で、三原則で装備の用途を限定していない共同開発か共同生産であれば護衛艦も移転は可能だと判断した。共同開発は導入まで時間がかかり、海自護衛艦を原型にした共同生産を適用する。共同生産は技術移転などを通じ、単純な輸出よりも一層、協力関係を深められる利点もある。

 インドネシアは南シナ海南端にナトゥナ諸島を有し、周辺の排他的経済水域(EEZ)の一部は中国が一方的に主張する境界線「九段線」と重なる。一昨年12月にはEEZ内で中国海警局所属の公船が護衛する形で漁船団が違法操業したことを確認したとしてインドネシアは海軍艦艇を展開させており、早期に新型艦艇を導入したい意向を日本に伝えてきている。

 防衛装備移転三原則実質的な全面禁輸方針とされた従来の武器輸出三原則に代わり、平成26年4月に閣議決定された。(1)国連安保理決議の違反国や紛争当事国には移転しない(2)平和貢献・国際協力の積極推進やわが国の安全保障に資する場合に限定し移転を認め、透明性を確保しつつ厳格審査(3)目的外使用および第三国移転について適正管理が確保される場合に限定-の3本柱で構成される。

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