米モデルナ製と英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンが国内で承認されることで、年内のワクチン供給量は米ファイザー製を含め計約3億6400万回分(約1億8200万人分)となる。16歳以上の接種対象者全員に必要な数量確保にめどが立ち、政府内では接種加速に期待が高まる。ただ、政府が目指す高齢者接種の7月末完了は困難との見方もあり、その後の一般の国民の開始時期は各自治体の接種状況次第で明確に見通せない。
「ワクチンの種類が追加されれば使用できる量の増加につながる。接種の加速化に資する」。加藤勝信官房長官は20日の記者会見で、新たに承認される2種類のワクチンに期待を寄せた。
菅義偉(すが・よしひで)首相は4月23日の記者会見で「高齢者接種を7月末までに終えたい」と表明。首相は期限を設定した理由について周囲に「目標を立てて、全力でやり抜く」と力説する。総務省に対しても各自治体への支援を強化するよう指示。これを受けて、総務省は高齢者接種の完了見通しの時期を聞き取るとともに、医師会への働きかけなどの支援も行い、目標達成に向けてハッパをかけた。
ただ、この目標設定に自治体の間では戸惑いも広がった。ワクチンの打ち手や副反応が出た場合に対応する医療従事者の確保が大きな課題として残っており、総務省の調査では約85%の自治体が7月末までに接種が完了すると答えたが、感染が広がる地域や大都市圏を中心に「8月中」「9月以降」と回答した自治体は合計で251もあった。
接種は、高齢者の次に基礎疾患のある人(約1030万人)▽高齢者施設などの従事者(約200万人)▽60~64歳の人(約750万人)-と続き、その後にそれ以外の一般の国民の接種が始まる。
今後のスケジュールは接種主体の自治体頼みなのが実情だ。全住民の1回目の接種が完了した人口規模の小さな自治体がある一方、高齢者でも接種予約すらできない自治体もある。ワクチンをコロナ対策の「決め手」とする政府にとって、苦しい状況はしばらく続く。(大島悠亮)