海外情勢

WHO年次総会開幕 台湾参加めぐり注目

 【ロンドン=板東和正】世界保健機関(WHO)の年次総会が24日、オンライン形式で開幕した。中国が反対する台湾の総会参加をめぐる投票が行われるかが注目されている。感染症発生から約1年半が経過したいまも新型コロナウイルスが猛威を振るう中、国際的なワクチンの公平分配への方策なども討議される。

 6月1日までの日程で、全加盟国194カ国の代表らが参加している。オブザーバー参加を希望する台湾には、24日までに招待状が届かなかった。台湾の呉●(=刊の干を金に)燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相に相当)と陳時中・衛生福利部長(厚生労働相)は同日、連名で「厳正な不満と抗議」を表明した。

 ただ、先進7カ国(G7)外相会合が今月5日、共同声明で台湾の参加支持を表明したことを受け、参加の可否が総会で議題に追加される可能性もある。

 WHOは総会への台湾参加の可否について「加盟国が決めることでWHO事務局に決定権はない」との立場を示す。議題への追加が認められれば、台湾の参加の可否は加盟国の過半数で採択される。米国や日本、欧州諸国などは賛成する方針だが、中国は途上国の票を固めているとみられる。

 台湾は蔡英文政権が発足した翌年、2017年から「一つの中国」原則を掲げる中国の反対で、WHO総会へのオブザーバー参加が認められなくなった。

 中国が台湾を排除したことで、新型コロナの有力な防疫対策をいち早く打ち出した台湾の知見を加盟国が円滑に共有できず、世界の保健衛生が脅かされたと非難する声も上がった。

 ドイツのメルケル首相は24日に公開された総会へのビデオレターで、「新型コロナ感染を受け、国際協力の重要性が再認識された」とし、台湾も念頭に、「(感染対策では)誰もが主導的な役割を果たし続けるべきだ」と強調した。

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