国内

急速充電器数を給油所並に 成長戦略に明記へ

 走行中に温室効果ガスを排出しない電気自動車(EV)の普及に向け、政府が2030(令和12)年までに急速充電器を国内で3万基設置する目標を掲げることが27日、分かった。給油所と同水準まで増やすことで街なかでも手軽に充電できる環境を整え、ガソリン車からの移行を加速する。6月に策定する新たな成長戦略に明記する方針だ。

 急速充電器は約30分でEVをフル充電できる。数時間かかる家庭用の普通充電器に比べ高出力で、現在は大型商業施設や高速道路のサービスエリアなどに設置されている。

 ただ、急速充電器は機器の費用だけで100万円以上、設置工事費用なども含めれば1基の新設に数百万円かかる。日本独自の規格を推進する「CHAdeMO(チャデモ)協議会」によると、国内の設置数は7700基(20年5月時点)と給油所の2万9637カ所(19年度末時点)に比べ4分の1程度にとどまっているため、支援策で後押しする。

 次世代自動車振興センターの調査(17年3月)では、EVなど電動車を持たない世帯の92・5%が、購入を見送る理由として充電インフラの整備不足を挙げた。菅義偉政権は脱炭素化に向け、35年までにすべての新車販売をEVや燃料電池車(FCV)にする目標を掲げているが、走行中の“ガス欠”ならぬ“電欠”に対する懸念がEV普及の大きな障害になっている。

 このため政府は遅くとも30年までにEVの利便性をガソリン車並みに向上させる目標を掲げ、急速充電器の導入促進に向けた手厚い予算措置を講じる構えだ。

 海外ではドイツや英国が30年を期限にガソリン車やディーゼル車の新規販売を禁止すると表明するなど、EVへの転換は世界的な潮流で、急速充電器の設置も右肩上がりで進む。一方、国内メーカーもホンダが40年までに全新車販売をEVとFCVに切り替えると発表したが、海外に比べEV化は出遅れており、充電インフラの整備が急がれる。

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