海外情勢

ファーウェイ、スマホでも独自OS展開へ 米技術依存度を低下

 中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が、独自開発した基本ソフト(OS)のスマートフォンでの展開に乗り出す。長期化する米中対立の影響を受ける中、米グーグルのOS「アンドロイド」に頼らなくても事業を継続できる環境を構築する考えだ。ただ、ITに関する米国由来の技術からの完全な脱却は容易ではなく、当面は厳しい事業環境が続くとみられる。

 華為は2日夜、独自開発したOSである「鴻蒙(ホンモン)」(英語名・ハーモニー)をスマホにも対応させると表明した。2月に発売した折り畳み式スマホ「MateX2」などが対象になるほか、タブレットや腕時計型の端末など同OSを搭載した新製品も発表した。

 鴻蒙は2019年に正式発表されたが、これまでスマホには非対応だった。家電など多様な機器とつなぐ「モノのインターネット(IoT)」に強みがあるといい、搭載機器を広げるため提携企業も増やす。

 ここ数年、ハイテク覇権をめぐる米中対立が深刻化し、華為のスマホ事業に逆風が吹いている。トランプ前米政権下の19年には、華為に対する輸出禁止措置が打ち出された。アンドロイド自体は、無償で自由に利用できるため、規制対象にはならないとされる。だが、禁輸措置の影響で、華為製のスマホ新機種には原則、グーグルの検索や地図などの主要アプリが搭載できないほか、グーグルの技術支援を受けられなくなるなど、事業に支障が生じたと伝えられている。

 同社は、アンドロイドの利用に支障が生じる可能性があるとみて独自OSの開発を急いだ。しかし、スマホ事業の打撃は既に数字に表れている。米調査会社IDCによると、華為は昨年4~6月期に世界のスマホ出荷台数のシェアで首位だったが、今年1~3月期では上位5社にも入らず圏外の扱いに。21年1~3月期決算では、売上高が前年同期比16.5%減だった。

 華為は、独自OSにより主力のスマホ事業で巻き返しを図る考えだ。また、電気自動車(EV)で拡大が見込まれる自動車関連事業の強化方針を示すなど、立て直しに向けさまざまな方策を打ち出している。

 ただ、スマホ向けOSではアンドロイドと、米アップルの「iOS」が圧倒的なシェアを誇る。また、米政府の措置で半導体など基幹部品の調達も難しくなるなど、影響が広範囲に及ぶため挽回は容易ではない。(北京 三塚聖平)

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