【北京＝三塚聖平】中国で民主化を求める学生らが武力鎮圧された１９８９年の天安門事件から４日、３２年を迎えた。中国当局は、事件の犠牲者を追悼する動きを阻止するため厳戒態勢で臨んだ。習近平指導部は、７月に中国共産党創立１００年を控える中で神経をとがらせており、市民を武力鎮圧したことに対する内外からの批判を力で押さえつけている。
毎年、６月４日に合わせて北京市では、惨劇の場となった天安門広場周辺の警備が強化される。３日深夜、事件で多数の死傷者が出た北京市内の木●（＝木へんに犀）地（もくせいち）の地下鉄駅周辺では、公安関係者とみられる多数の私服姿の人間が通行人の動きを厳しい表情で監視していた。追悼活動が行われるのを防ぐためとみられる。
天安門事件の遺族グループ「天安門の母」は４日までに声明を発表。中国共産党創立１００年を迎えることに触れつつ、事件解決は「党と政府の逃れられない責任だ」と強調した。声明には計１２２人が署名し、事件による犠牲者のリストの公開など真相解明や賠償、責任追及を求めた。
しかし、党や政府は遺族らの訴えに正面から向き合おうとしない。中国外務省の汪文斌（おう・ぶんひん）報道官は３日の記者会見で、天安門事件について「完全に正しかった」と主張した。