海外情勢

ミャンマーへの関与狙う中国 ASEAN支援表明

 【シンガポール=森浩、北京=三塚聖平】中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)が中国・重慶で7日に開いた特別外相会議では、クーデターで国軍が実権を握ったミャンマー情勢を協議し、中国の王毅国務委員兼外相が事態打開に向けASEANに協力すると表明した。国軍への制裁を発動して強硬姿勢を取る欧米諸国を牽制(けんせい)し、ミャンマーで影響力を拡大させる意向を鮮明にした。

 王氏は会議でミャンマー情勢について、「中国とASEANは立場と見解が全体的に一致している」と話した上で、欧米諸国を念頭に「一方的な制裁や不当な介入を避けるよう共同で促したい」とも述べた。

 中国にとって、ミャンマーは陸路でインド洋に進出するための要衝であり、国内のこれ以上の混乱は避けたい考えだ。王氏は会議で「ミャンマー情勢は中国の利益に直接的に関わる」とも話した。

 既に中国はASEANとミャンマーの仲介役として振る舞い始めており、5日には中国の陳海・駐ミャンマー大使がミン・アウン・フライン総司令官と面会。4月のASEAN特別首脳会議で合意された暴力の即時停止など5項目の実行を「支持する」と伝えた。

 ASEANも、5項目の実施に消極的な国軍を動かすため、中国の助力に期待している。

 ASEANには「内政不干渉」と「紛争の平和的解決」の原則があり、制裁を含む強硬姿勢を打ち出す米国よりも、国軍に融和的な中国は連携しやすい相手といえる。

 ただ、中国がミャンマー介入を深めれば、国軍と関係が深いだけに、クーデターによる権力奪取を容認する展開となりかねない。欧米諸国の反発も予想され、事態は混乱の度を深める可能性もある。

 中国は8日、重慶でタイなどのメコン川流域国と会議を開催。巨大経済圏構想「一帯一路」を通じた協力などを話し合った。

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