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骨太方針原案 対中包囲網強化、経済安保で企業にも責務   (1/2ページ)

 政府は9日の経済財政諮問会議で、経済財政運営の指針「骨太の方針」の原案を示し、中国人留学生を念頭に先端技術の流出防止策などで具体策を明記するなど、経済安全保障の強化を打ち出した。覇権主義を強める中国への警戒感が国際的に高まる中、企業に新たな責務を迫る内容だ。日本企業には業績などへの影響も出るが、対中包囲網形成の重要性は大きい。政府は日本企業が中国との経済的な結びつきが強いことも踏まえた、実効性の高い対策を練り上げる必要がある。

 「携帯電話や基地局向け電子部品を中心とした通信関連事業で、(売上高減少による)100億円超の影響があった」

 京セラの谷本秀夫社長は、中国工場からの出荷が米国の対中制裁で制約を受けた影響について、こう説明する。半導体の関連部品を増産する設備投資先は中国ではなく、「アジア地区では当面、日本、ベトナムが中心」という。

 ソニーは米国の対中制裁で、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)へのスマートフォン用半導体の出荷を一時停止。中国IT大手から出資を受けた楽天は情報流出の懸念から、政府からの監視を受ける。

 企業に新たな対応を迫る経済安保強化の背景には、中国が経済、軍事、情報などあらゆる面で世界への影響力を強めている事情がある。米国は中国を「国際秩序に挑戦する唯一の競争相手」と位置付け、先端技術の対中輸出を制限し、第5世代(5G)移動通信システムの整備でも華為など中国系企業を排除した。

 実際、日米では中国が大学の研究者や企業関係者らに多額の資金を渡すなどして抱き込みを図る事件が相次ぐ。日本も技術流出に対する規制を強化して米国と足並みをそろえる構えだ。

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