国内

「電車でGO!」実現へ、静岡・岳南電車がCFで運転体験

 「電車でGO!」実現へ-。静岡県富士市を拠点としたローカル線、岳南電車が電車の運転体験プロジェクト実現に向けた資金を募っていたクラウドファンディング(CF)が、締め切りの8日前に目標額の800万円を突破した。14日午後8時現在の応募総額は1167万円に達し、同社は鉄道愛好家らに感謝する一方、機関車の維持費として1200万円を「次の目標額」と設定して、締め切りである15日いっぱいでの達成を目指している。

 岳南電車の担当者は、当初の目標額達成について「本当にありがたい。感謝の気持ちでいっぱい」と話す。運転体験は、10年ほど前に廃線となった吉原駅近くの貨物用側線「貨物線路1番線」を活用。目標額に到達すれば、12月に約200メートルの運転を体験してもらう企画だ。来年1月以降も定期開催を目指している。

 企画の背景には、新型コロナウイルス感染拡大による沿線の学校休校、企業の在宅勤務などで通勤・通学客が減少し、苦境にあえぐ同社にとって新たな収益源としての期待があった。

 ただ、運転体験にはさびたレール、朽ち果てた枕木など老朽化した廃線の改修が必要で、「会社として改修費を用意する余裕はない」(同社鉄道部)のが実情だ。そこで4月からCFで資金を募り始めたが、5月21日時点では目標額の半分に満たない約343万円にとどまっていた。

 目標額に届かなければ企画は成立せず、寄付金も全額返金される。同社の担当者も「ハードルは高い」と顔を曇らせていた。

 切羽詰まった同社は、鉄道愛好家の人気ユーチューバーに、運転体験プロジェクトの動画紹介を依頼。快諾してもらい、寄付額約600万円だった今月6日に動画が配信されると、翌7日には、一気に目標額を超えた。「信じられない」と、同社の担当者は目を丸くした。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus