経済団体が、中小企業の職場接種支援に乗り出している。経済同友会は21日、貸会議室大手のティーケーピー(TKP)と組み、従業員1000人未満の企業を対象とした集団接種を始めた。東京商工会議所も7月8日から始める計画だ。多くの会員企業を抱える経済団体の後押しで、一刻も早い集団免疫獲得や経済回復につなげる。
経済同友会とTKPは、東京都内の3カ所で集団接種を始めた。この日は接種を希望した118社の従業員、家族ら約4万3000人のうち、約750人が会場に足を運んだ。
TKPは、20都道府県で展開する134カ所の会議室を会場として無償提供し、ワクチンや医療スタッフも用意する。今後は地方でも対応したい考えだ。
東京商工会議所は、7月8日から東京都千代田区の本部で会員中小企業・個人事業主向けの接種に乗り出す。コロナ禍の影響が大きい飲食や宿泊、観光などの業種を優先。1日500人程度の接種を想定しており、9月末までに計4万回を終える。優先対象の会員には24日以降に郵送で案内するという。
集団接種は地方の経済団体も実施を検討。福岡商工会議所は7月上旬、大阪商工会議所は同月中旬に始める計画だ。
中小企業は日本の全従業員の約7割を占める。ただ、職場接種は1会場当たり最低1000人程度を原則としている上、中小企業は自力で医師や看護師を確保できないことが多く、単独の接種実施が難しい。TKPの河野貴輝社長は「経済活動の正常化に向け、早く接種したいのは中小企業も同じ」と話す。