【ロンドン=板東和正】英政府は21日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に加盟するため、加盟11カ国との交渉を22日に開始すると発表した。欧州連合(EU)からの離脱後、世界各国との連携で影響力を図る「グローバル・ブリテン」構想を掲げる英国はTPP加盟を通して、インド太平洋地域で存在感を高める考えだ。
英国は2月、TPPへの加盟を正式に申請した。2018年の発足時の参加国以外が正式に加盟を申し入れたのは初めてだった。交渉を経た上で、最終的な加盟決定は1年程度かかるとみられている。
加盟が実現すれば、TPP参加国の国内総生産(GDP)合計は世界全体の約13%から約16%へ高まる。英政府はTPP加盟国への輸出額が2030年までに約65%増加すると試算しており、英国全体に経済的利益をもたらすことが期待されている。
ジョンソン首相は21日に発表した声明で「(TPPは)英国の自由貿易の歴史を築き、英国全土に経済的な恩恵をもたらすエキサイティングな機会だ」と指摘。「急速に成長するインド太平洋地域で、英国の経済界と消費者にこれまでにない機会をもたらす」と強調した。
英国はTPP加盟国と経済や安全保障面で連携を強め、インド太平洋地域への関与を強める姿勢を打ち出す狙いだ。
東南アジアを歴訪中のラーブ英外相は、TPP加盟国のベトナムのファム・ミン・チン首相や、シンガポールのリー・シェンロン首相らと順次協議。安全保障や気候変動問題に関して協議する予定。