国内

都民ファに敗れた自民元職らの「再チャレンジ」支える安倍前首相

 7月4日投開票の都議選は、前回選で小池百合子知事率いる都民ファーストの会の候補に敗れた元職らの復活をかけた戦いともなる。特に30議席超を減らす歴史的惨敗を喫した自民党は今回、15人の元職を擁立した。4年前に同党総裁として都議選に臨んだ安倍晋三前首相は第1次政権時の突然の辞任で復活すら危ぶまれた自身の経験もあって、元職らの「再チャレンジ」を支援している。

 26日午後、荒川区の自民元職、崎山知尚氏は熊野前駅近くの交差点でマイクを持ち、「再び都議会に立たせてほしい」と訴えた。崎山氏のように、返り咲きを狙う自民の元職は他党よりも多い。

 これを気にかけてきたのが安倍氏だ。都議選から半年以上前、自民都議らとの会合の席で「(都議選の応援に)ちゃんと入るから。任せて!」と語っていた。その言葉通り、告示日の25日には早速、崎山氏の出陣式で、こうあいさつした。

 「4年前の都議選は私にとって痛恨の極みだ。有能な議員が議席を失うことになり、本当に申し訳ない思いだった」

 安倍氏自身、平成19年9月に持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、首相辞任に追い込まれた。世間からは「投げ出し」と猛批判を浴びた。 体調回復後、真っ先に取り組んだのが地元行脚だった。地盤とする衆院山口4区は山間部も多い。山の中まで分け入って出席者が数人程度のミニ集会にも参加し、1年間でスニーカーを6足履きつぶした。

 「首相の職を辞し、ボロボロになった私を温かく迎え入れてくれたのが地元の皆さんだった。そのおかげで再びチャレンジできた」

 安倍氏自身がたびたびこう言及するように、地元の支持を背景に首相に返り咲き、憲政史上最長政権を担うまでに復活を遂げた。

 第1次政権辞任直後を振り返り、「地獄を見た」と周囲に語っていた安倍氏。それだけに、地獄からはい上がろうとする仲間に寄せる思いは強い。

 崎山氏は安倍氏の応援について、「本来なら都議会の問題。安倍さんが贖罪(しょくざい)意識を持つ必要はないが、私たち元職にとって心強い存在だ」と語った。

 荒川区ではほかに、都民ファ現職の滝口学氏、無所属新人の山川裕菜氏、諸派新人の山本剛氏、公明現職の慶野信一氏、共産新人の鈴木賢一氏が立候補している。(大森貴弘)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus