海外情勢

習政権のメディア弾圧手法、強権国家にも影響 「国境なき記者団」事務局長

 国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」(本部パリ)のクリストフ・ドロワール事務局長に、蘋果日報(アップルデイリー)休刊の影響について聞いた。

   

 蘋果日報の休刊は、香港の「報道の自由」に対する弾圧にとどまらない。中国の独立系メディアを震え上がらせ、中国全土で報道が死に絶えかねない。習近平政権のメディア弾圧の手法は、ロシアやベラルーシなど、ほかの強権国家にも影響を与えるだろう。

 中国共産党の報道管理は、習政権になって大きく変わった。胡錦濤政権時代には、共産党系メディアでも政府に批判的な記述を試みて、容認の「限界」を探るような動きがあった。

 これに対し、習政権は「記者は共産党と国家に寄与するものでなければならない」という立場を明確にした。外国人記者に対しても同じだ。昨年、ニューヨーク・タイムズ紙など米メディアの記者証を剥奪したが、同紙が温家宝前首相の一族の蓄財疑惑を報じたときは、温氏に圧力をかけるのに利用した。

 さらに、留意すべきなのは、習政権が技術で優位に立ち、デジタル空間に中国の秩序を押し付けようとしていることだ。国境を超えて中国の主張に添ったプロパガンダを流し、民主主義世界に挑戦している。インターネット上の検閲にとどまらず、発信者を特定し、監視できる仕組みを作りつつある。

 中国国営中央テレビの国際放送CGTNは、英国で放送免許を剥奪された後も欧州で発信を続けている。

 中国は、国内で記者活動を締め付けながら、民主主義国家の「表現の自由」を利用して、自国に都合のよいプロパガンダや偽情報を流している。この不公平な状況に、立ち向かうべきだ。(聞き手、パリ 三井美奈)

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