国内

路線価6年ぶり下落 0・5%マイナス、新型コロナ影響

 国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる令和3年分の路線価を公表した。全国約32万地点(標準宅地)の対前年の変動率は全国平均で0・5%マイナスとなり、6年ぶりに下落した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、大都市圏や観光地でインバウンド(訪日外国人客)が縮小したことや、飲食店への営業時間短縮要請が続いたことなどが大きく影響した。

 毎年1月1日時点での評価のため、2年分には新型コロナの影響が反映されていなかった。国税庁は2年分の路線価で、コロナ禍で地価が大幅に下落した大阪市中央区の繁華街「ミナミ」周辺を対象に減額修正(補正)しており、3年分も大幅に下落すれば同様に修正を検討する。

 都道府県別で下落したのは39都府県で、昨年の26県から13増。下落率が最大だったのは静岡(1・6%)で、インバウンド需要が縮小した東京(1・1%)や大阪(0・9%)もマイナスに転じた。上昇は7道県にとどまり、トップの福岡(1・8%)をはじめ上昇幅は軒並み縮小した。

 都道府県庁所在地で最高路線価が下落したのは22都市で昨年より21増。下落率1位は奈良市東(ひがし)向(むき)中(なか)町の大宮通りの12・5%で、2位は神戸市中央区三宮町1丁目の三宮センター街(9・7%)、3位は大阪市北区角田町の御堂筋(8・5%)と関西が占めた。上昇したのは昨年より30減の8都市。上昇率トップは仙台市青葉区中央1丁目の青葉通りで3・8%だった。

 路線価の全国1位は36年連続で東京都中央区銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前の銀座中央通り。1平方メートルあたり4272万円だが、9年ぶりに下落に転じた。

 税務署別の最高路線価で最も上昇率が高かったのは、福島県白河市新白河2丁目の国道289号通りで13・7%。外国人スキー客らの人気を反映し、昨年まで6年連続トップだった北海道倶知安(くっちゃん)町山田の道道ニセコ高原比羅夫(ひらふ)線通りは、横ばいにとどまった。

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