4日投開票の東京都議選で、自民党は都議会第一党を奪還したものの、最終盤に小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の追い上げを受けた。共闘する公明党は善戦したが、自民は議席の上積みが足りず、自公での過半数には届かなかった。新型コロナウイルスの感染拡大への不安も残り、首都決戦で大勝して次期衆院選への弾みとしたかった自民の目算に狂いが生じている。
「東京都連や候補者の懸命な戦いによって、議席を多少増やすことができる状況のようだ」。自民の二階俊博幹事長は4日夜、都連の選対本部でこうあいさつした。一方、山口泰明選対委員長は党本部で記者団に、「残念ながら自公で過半数割れが確実になった。どこが足らなかったのかを精査し、来るべき衆院選に臨んでいかないといけない」と課題を口にした。
都議選は直後の国政を占う先行指標となってきただけに、自民は今回の大勝負に菅義偉(すが・よしひで)首相(党総裁)以下幹部が国政選挙並みの総力戦で臨み、惨敗した4年前に比べ議席を伸ばした。
とはいえ、投開票の1週間前の時点では「50議席を獲得できれば勝利」(党関係者)との見通しだっただけに、最終盤に失速した印象は否めない。高い知名度を誇る小池氏が投開票直前、都民ファースト候補の応援に回った影響を受けたのは明らかだ。
それに、都議選で議席を伸ばした勢いを秋までに行われる次期衆院選まで維持できるとはかぎらない。東京で議席を増やせば、衆院選はその反動で地方の票が減るとの見方もある。
なにより、新型コロナという最大の難敵が立ちはだかる。政府が6月20日に緊急事態宣言を解除した東京都は新規感染者が再び増加傾向にあり、五輪期間中にさらに感染が拡大すれば批判は免れない。
実際、菅内閣の支持率は感染対策と連動してきた。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が6月19、20両日に実施した合同世論調査では、内閣支持率は43.4%、不支持率は51.6%と2カ月連続で不支持が支持を上回った。政府の新型コロナ対策を「評価しない」との回答は56.8%に上り、国民の目は厳しい。
政府関係者は今後の展望について「不確定要素が多く、衆院選までは綱渡りだ。ここからが正念場だ」と語った。(広池慶一)