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「民意」支配するコロナリスク 都議選で白日の下に

 都議選の最大の焦点は小池百合子都知事の動向だった。小池氏は告示3日前に過労による体調不良で入院。選挙戦終盤で公務に復帰し、3日には自らが特別顧問を務める都民ファーストの会の候補者陣営を回った。自民の伸び悩みと、劣勢が伝えらえた都民ファの巻き返しに一定の影響を与えた可能性がある。(産経新聞社 編集局次長兼社会部長 中村将)

 選挙の度に議会の勢力図を変える都議選はその後の国政選挙を占うバロメーターとされてきた。自民は選挙協力した公明党と合わせても過半数は厳しい情勢で、政権に暗い影を落としている。ただ、都民ファも旋風を巻き起こした4年前の前回選ほどの勢いは感じられなかった。

 新型コロナウイルスの勢いは衰えず、対策は難しい舵(かじ)取りを迫られる。各党とも秋までに行われる衆院選への影響は見通せない。

 ちょうど1年前の7月5日、都知事選で再選を果たした小池氏は「第2波に備える重要な時期。しっかりと対応したい」とコロナ対策への抱負を語っていた。

 ところが、都民はその後もコロナの猛威を見せつけられた。第2波、第3波、第4波とそれに伴う2度の緊急事態宣言を経験した。新規感染者が急増し、医療体制に負担がかかり始めると、「不要不急の外出は控えて」「密を作らないように」と呼びかけられた。

 行政は飲食店に酒類提供の自粛や営業時間の短縮などを求めるしか、効果的な対策が打ち出せていないように映ったこの一年、「ウィズコロナ」がどれだけ窮屈かを思い知らされた。

 コロナ禍、しかも蔓延(まんえん)防止等重点措置の下で行われた都議選。大半の候補者がコロナ対策の重要性を訴える中、東京の新規感染者数は日々、前週同曜日を上回り、「ステージ4」(爆発的感染拡大)の兆候が表れたことは皮肉だった。感染対策を訴える候補者の言葉が空虚にさえ感じられた。人口10万人当たりの療養者数もステージ4に達した(7月1日現在)。

 コロナ禍は政治家の言葉も無力化させた。高い支持率を維持する小池氏のメッセージでさえ例外ではない。緊急事態宣言解除前から人流が増え、解除時点ですでにリバウンド(感染再拡大)傾向がみられた東京の状況は「お願いベース」の施策の限界を示したともいえる。

 感染力の強いインド由来の変異株「デルタ株」への置き換わりは進み、関東地方では今月中に50%を超えるとの専門家の分析もある。飲食店などで酒類の提供が再開して2週間。本当の感染拡大は今週以降とみられる。第5波の山を登っていく懸念は拭えない。

 週内に東京など首都圏は蔓延防止措置の延長の判断が下される方向で、緊急事態宣言の再発令や、五輪の無観客開催なども取り沙汰されていく。五輪開催中の医療体制の逼迫(ひっぱく)は「安心・安全」を脅かす。

 頼みの綱であるワクチン接種は急速に進んではいるが、東京で2回の接種を終えた65歳以上の高齢者は34・46%、全世代にすると約8・08%にとどまる(3日現在)。接種が感染拡大とそれに伴う重症化の速度に追いつくかが鍵を握る。都議選の結果では測れないコロナリスクが今後も政権に重くのしかかる。

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