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五輪無観客「観戦、子供だけでも」 幕張のホテルすでにキャンセルも

 千葉県内で行われる東京五輪4競技の無観客での開催が決まった。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から歓迎する声がある一方、地域活性化の起爆剤になるという期待があっただけに、残念がる関係者も多い。23日の開幕まであと2週間。熊谷俊人知事は、「残された期間は短いが、速やかにアスリートの方々が試合に集中し、県民を上げて応援できる環境を整えていきたい」と話した。

 政府や国際オリンピック委員会(IOC)などが無観客方針を決めた8日夜、関係自治体の連絡協議会にオンラインで出席した熊谷知事は、東京五輪・パラリンピック組織委員会から「1都3県は無観客」との提案を受け、賛同したという。終了後、熊谷知事は県庁で記者団の取材に応じ、「これまで東京都と3県は同じ扱いであるべきだと申し上げてきた。無観客は残念だが、今の感染状況で県民に理解される選択を取られたと思う」と理解を示した。

 県内では、五輪初採用となるサーフィンが一宮町の釣ケ崎海岸で、レスリング、フェンシング、テコンドーが千葉市の幕張メッセで実施される予定だ。

 決定から一夜明けた9日、一宮町の担当者は「町内には観客が来ることを不安がっている声もあった。こうした状況では致し方ない」と話した。町は、観客の案内などを行うボランティア約70人を集めていたが「仕事がなくなるのでお断りするしかない」という。

 一宮町サーフィン業組合の鵜沢清永組合長は、「初めてオリンピック種目となり、サーフィンの良さをアピールするいいチャンスだったので残念」とため息をつく。会場近くの小学校では全校生徒の3分の1がサーフィンをしているといい「子供たちだけでも、会場で地元出身の大原洋人選手や海外のトップ選手の演技を見せてあげてほしい」と訴えた。

 幕張メッセ近くのホテルの担当者は、「観戦のために宿泊を予定していた方から既にキャンセルの連絡が来ている。残念でならないが、誰が悪いわけでもないので仕方がない」と話した。(小野晋史、長橋和之)

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